下町酒場はしご酒~江戸川のディープな居酒屋巡り
住宅街で60年続く老舗モツ焼き酒場
東京メトロ東西線葛西駅から新川方面へ歩くこと約16分、駅から離れた中葛西の住宅街にモツ焼き酒場(しみず)がある。
カウンターに腰をおろしまずはビール。
ングングング……。
さて、ここを訪れたなら名物の「もつ煮込み」がなければ始まらない。
というのも、ここの煮込みはめっぽううまいのだ。
モツ以外の具材は豆腐のみ。
モツは鮮度と仕込みは特に重要。
食肉市場から仕入れたモツは、水洗いなどの下準備を入念に行ってからボイル。
浮いてくる余分な脂も丁寧にすくい取ることで、あっさりとした煮込みに仕上がる。
届いた煮込みは、透明感のあるすっきりした味わいで、まるでスープのよう。
大衆酒場のいわゆる“煮込み”を想像していたなら意表を突かれる。
一方で、もつ焼きのラインナップは、はつやレバー、かしら、なんこつなどの全7種。
組み合わせ自由の2本からの注文だ。
ここ(しみず)は、下町の大衆酒場。
「そもそも大衆酒場という言葉は、いつ頃から使われ出したのだろう」
そんな疑問を投げかけた文章を読んだ覚えがある。
“大衆”の看板文字は下町に多く見る。
ところが、“大衆酒場”となると、戦前あるいは戦後のどの時期から使われ始めたのか確信を持てる答えに出合っていない。
戦前から創業していた酒場でも“大衆”の文字を暖簾に掲げたのは戦後のようだ。
そこで、酒場よりは古くからお目見えしていただろう“大衆食堂”との関連を尋ねてみた。
仏教寺院で炊事をするところとして“大衆屋”の文字が934年頃の文献【十巻本和名抄】で食堂の文字とともに見ることができる。
しかし、今でいう大衆の意味は大正デモクラシーあたりからのもので、「戦災後における大衆食堂の普及は、……」の記述【「浅草経済学」1933年】の一文で“大衆食堂”へ転用されていたことがわかる。
★メニュー「値段は訪問時。現在とは誤差があるかもしれないので参考までに」★
おしんこ「キャベツときゅうりの浅漬け」380円
はんぺんバター焼き450円
なんこつ唐揚げ480円
もつ煮込み「とうふ入り」500円
コダマバイスサワー500円
ホッピーセット「白・黒」520円
↑当店スペシャリテもつ煮込みは食べなきゃ損
↑もつ焼きはタレが旨い。塩は店の味ではなく、素材の味で家庭でも焼ける
↑ガツ刺しも鮮度の違いがよくわかる
↑駅から離れた住宅街の酒場に今宵も地元常連客が集う
店名 | しみず |
住所 | 東京都江戸川区中葛西2-7-1 |
営業時間 | 16:00~21:30 |
定休日 | 日・月曜 |
連絡先 | 070-8934-1589 |
関連サイト | なし |
取材日 | 2023年 |
◆この記事を書いたひと
酒場ライター:居酒屋伝道師・池波和彦
東京生まれ東京育ち。酒場巡りを趣味とし、北は北海道の離島から南は沖縄の離島まで新規7000軒以上の店を巡りブログ「日本の酒場をゆく」を執筆。毎夜全国の居酒屋やバーにて神出鬼没の酒戦の日々を過ごす痛飲派。
ブログ「日本の酒場をゆく」↓
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。
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