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技連協活動レポート

「2010てくのまつり」 取材レポート

川崎市技能職団体連絡協議会から4団体が参加

提供:川崎市技能職団体連絡協議会
2月21日(日)、川崎市高津区溝の口の「てくのかわさき」(川崎市生活文化会館)で、「2010てくのまつり」が開催されました。同日は「大山街道フェスタ」「すくらむ21まつり」も同時開催され、地域の大きなお祭りが3つ重なり大勢の参加者で賑わいました。「てくのまつり」では、川崎市が「極めて優れた熟練の職人」として「かわさきマイスター」に認定した技術・技能者が、素晴らしい技を披露しました。また、川崎市技能職団体連絡協議会(技連協)からも4団体が参加し、体験教室や実演・販売などを行いました。会場でチャリティー販売された品物の売り上げは寄付されます。当日参加された技連協の皆さんにお話をうかがいました。

川崎市左官業組合連合会

光るどろだんご(1階工作実習室)

子どもたちは夢中になって、泥だんごに色を塗っています。
子どもたちは夢中になって、泥だんごに色を塗っています。
泥だんごの大きいのや小さいのが、子どもたちの手で次々と色を塗られ、磨かれたりワックスをかけられ、光るだんごに変身していきます。色を塗り上げ磨きがかかるごとに、「わっ、光りだした」とあちこちから上がるちびっ子たちの歓声。付き添いのお父さんやお母さんたちまで、つい夢中になってしまいました。これは川崎市左官業組合連合会が主催した、いま全国的に人気の「光るどろだんご」作りの体験教室です。泥だんごの材料は粘土混じりの普通の土。だんごは乾燥するまで時間がかかるため、組合員の手で予め丸く固められて会場に持ち込まれました。子どもたちは、真ん丸のだんごに左官の仕上げ材料を塗り、磨き上げます。
色を塗り、磨きがかかるごとに「わっ、光りだした」と、ちびっ子たちは大喜び。
色を塗り、磨きがかかるごとに「わっ、光りだした」と、ちびっ子たちは大喜び。
昔の日本家屋は、壁を作ったり屋根に瓦を固定する際、泥を使うのが普通でした。粘土瓦が葺かれ土壁やしっくい壁が張られた家並みは、どこでも見られた日本の風景でした。しかし、最近はこうした建築方法は少なくなり、本来の左官業の仕事も減ってきました。「光るどろだんごづくり」を企画したのは、最後まで泥で仕上げるという左官業本来の職人気質を子どもたちに伝えたいからだと連合会の担当者は言っていました。子どもたちも、いまは泥んこ遊びと縁が遠くなっています。普段あまり触ることのない泥土をいじることで自然を考え、伝統を大事にする心を磨いてもらえればというのが、きょう泥だんごづくりをコーチした職人たち皆さんの願いのようでした。左官の仕事そのものを直に紹介するより、こうした泥遊びを通して、ものづくりの原点が子どもたちに通じればと思いました。

川崎着付士協会

着物着付体験指導(5階和室)

「日本の伝統文化である着物を、着付を通して伝えていきたい」という森よし子さん。
「日本の伝統文化である着物を、着付を通して伝えていきたい」という森よし子さん。
川崎着付士協会所属の森よし子さんは、5階の和室で着付の実演・体験指導を行いました。同協会には着付を教えている、いろいろな先生が所属しています。森さん自身も着付教室を自宅や会館で開いており、多くの生徒が学んでいます。こうした外部のイベントなどにも積極的に参加し着付の実演・体験指導を行い、着物の良さをアピールしています。大勢の人が集まるイベントは、生徒さんの発表の場にもなりますということで、この日も多数の生徒が参加し、それぞれ教室で覚えた帯結びを華麗に披露していました。
生徒さんがモデルとなって着付の実演。
生徒さんがモデルとなって着付の実演。
森さんは着付を教え始めて25年経つそうですが、その間特別にブームというような現象はなく、受講者はコンスタントに続いているとのことです。そういう意味では、着物への根強い日本女性の愛着ぶりがうかがえます。愛好者も若い女性から年配者まで幅広い年齢層に及び、この日は「男結びを教えて欲しい」と男性客も来たということです。また、最近は外国人にも人気で、この日も外国人女性が訪れ、ここで着付してもらった振り袖姿で館内を歩いて大喜びだったそうです。
てくのまつりコンテストには「創作帯結び」が出品され、イベントに華を添えました。
てくのまつりコンテストには「創作帯結び」が出品され、イベントに華を添えました。
「実はきのうも、市内の国際交流センターで開かれた外国人市民による日本語スピーチコンテストに、協会に所属する着付教室の先生たちがボランティアで参加して着物姿を披露してきたばかりです」と話され、国際親善に一役かったということでした。「日本の伝統文化である着物を伝えていきたい」という森さんたちの思いは、着付を通して着実に広がっているようです。

川崎市食肉商業協同組合

モツ煮、焼きそば他販売(正面広場)

2010秋の技能五輪のマスコット君も参加して、おまつり広場は終日大賑わいでした。
2010秋の技能五輪のマスコット君も参加して、おまつり広場は終日大賑わいでした。
川崎が誇る優れた技能者を一堂に集めた「てくのまつり」も、お腹が空いては匠たちの説明もうわの空……ではありませんが、1階正面の広場には、ブロック作りの特製バーベキュー炉でこんがりと焼き上げられた豚の丸焼き、鳥のから揚げ、モツの煮込み、焼きそば、フランクフルトソーセージ、惣菜など、全部手づくりの食品が並び、開場とともに早くも親子連れらがそれぞれお目当ての品物の前で列をつくっていました。なかでも豚の丸焼きは好きなだけ取ってくださいという無料サービスで大人気。お昼の時間帯を挟んで、またたく間にさばけてしまいました。主催した川崎市食肉商業協同組合の上野好一理事長は「少しでも食肉普及に役立って欲しいと採算度外視のボランティアでやっていますが、手ごたえは上々です」と言っていました。
「手づくり食品を安く提供したい」と、1階正面広場には組合員の手で大きな豚の丸焼きなどが準備され、朝から食欲をそそります。
「手づくり食品を安く提供したい」と、1階正面広場には組合員の手で大きな豚の丸焼きなどが準備され、朝から食欲をそそります。
同協同組合には組合員として現在、90店舗ほどが加盟しているそうですが、最近は高齢化社会のせいか、残念ながら食肉全体の消費は減っているということです。そのため、こうしたイベントなどには積極的に参加して、手づくり食品を安く提供して少しでも食肉需要の拡大に結び付けたいと上野さんは言っていました。講習会もよく開くそうです。きょうも組合員が20人ほど応援に駆けつけ、朝早くから仕込などに大忙しでした。食肉関連の分野では、かわさきマイスターに認定された技能士は1人しかおりませんが、上野さんは「若い人は肉類を結構食べていますから、技能を含め何か新しい方向を模索していきたい」と抱負を語っていました。

川崎洋装組合

洋裁品展示・販売・体験(5階洋裁実習室)

「もっと洋裁の魅力を幅広く、力強く訴えていきたい」と佐藤理事長(写真中央)は語っていました。
「もっと洋裁の魅力を幅広く、力強く訴えていきたい」と佐藤理事長(写真中央)は語っていました。
川崎洋装組合は毎週、5階の洋裁実習室で洋装教室を開いていますが、きょうの「てくのまつり」には組合員が手づくりした洋裁品の展示・販売を中心に参加しました。会場にはファッショナブルな洋服やおしゃれなバッグ、スカーフ、袋物などの小物がところ狭しと並べられ、多くの女性たちが品物選びを楽しんでいました。理事長の佐藤榮子さんは、洋裁・婦人服の分野のかわさきマイスターでもありますが、「もっともっと洋裁の良さをアピールしていきたい」という思いで、組合員の皆さんと一緒にてくのまつりに参加したということです。
組合員が手づくりしたスカーフやバッグなどの小物が好評でした。
組合員が手づくりしたスカーフやバッグなどの小物が好評でした。
現在、川崎洋装組合には16人の参加者がおり、それぞれ洋裁店を経営したり洋裁教室を開いて活躍しています。日常的な業務のほか、月に1回定例会を開いて経過報告をするなど組合員同士の交流を活発に進めているほか、県洋装組合連合、川崎市技能職団体連絡協議会にも所属し、県や川崎市などとのタイアップによるイベント参加など公的活動にも力を入れています。佐藤さんは「最近は洋裁のオーダーも少なくなり、そうした現実に業界としてどう対応していくのかが大きな課題」といいます。既製服が氾濫して手づくりの良さが見失われている時代ですが、佐藤さんによると女性である以上、手仕事には関心があるはずだから、なんとかしてもっと洋裁の魅力を幅広く、力強く訴えていきたいということでした。きょう、この会場を訪れた人たちは少なくとも、オリジナルの服を作る良さを味わって帰られたのではないでしょうか。