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技連協活動レポート

「技能職者に学ぶ」職種別講義(生田中、有馬中)

技連協が17職種、78人の技能職者を講師に派遣

提供:川崎市技能職団体連絡協議会

技能職を理解し、進路・職業選択への指針に

生田中の校門脇には、きょうの特別授業を案内する手づくり表示板が掲げられました。
生田中の校門脇には、きょうの特別授業を案内する手づくり表示板が掲げられました。
平成22年3月16日(火)、川崎市立生田中学校(午前)と、同有馬中学校(午後)で川崎市技能職団体連絡協議会(技連協)主催による「技能職者に学ぶ」職種別講義(指導)が行なわれました。川崎市と連携して同協議会がここ数年来、市内の小・中学校を対象に行っている後継者育成事業の一環で、同日は生田中1年生 181人、有馬中1年生282人が参加しました。講師陣には技連協加盟の23団体(17職種)から78人が参加しました。

1年生に職種別講義と実技指導

職種別講義(指導)は技能職者を中学校へ講師として派遣し、技能職者が長年培ってきた技術・技能を体験学習などを交えながら中学生に紹介することにより、自分の進路や職業について考えるきっかけをつくり、また、技能職についての理解と知識を深めることを目的に実施するものです。この日は両中学とも1年生がそれぞれ希望する職種を選択し、その道のプロたちから具体的な仕事の内容を聞き、また実際に作業を体験して、技能の奥深さと、将来の職業選択への予備知識を学びました。

ものづくりの大切さを訴え、将来の職業選択を考える

授業の前に技能職について分かりやすい説明がありました。
授業の前に技能職について分かりやすい説明がありました。
生田中では午前9時30分に、また有馬中では午後2時に、それぞれ講師陣と生徒たちが体育館に集合し全体会を開きました。初めに技連協の山本知男後継者対策委員長が生徒たちに講師陣を紹介した後、この日の講義の意義などを話しました。その中で同委員長は、建築技能職である自らの体験話を交えながら、ものづくりの大切さを説き、講師として今日指導してくれる技能者たちがいかに社会のために役立つものをつくっているかなど、技能職について分かりやすく説明しました。そして、年齢に関係なく生涯続けられる職業であることなどを紹介しながら、きょうの体験学習を将来の進路を考える時のプラスにして欲しいと訴えました。

参加した17業種と講師を派遣した団体名

この後、職種ごとに準備された教室に分かれ、各職種の仕事内容などの紹介を交えながら、実技などの体験を行ないました。参加した職種は以下の通りです(カッコ内は団体名と派遣講師数)。
(1)石工職(川崎石材商工業組合・5名)
(2)建築設備職(川崎市管工事業協同組合・5名)
(3)着付士(全日本みやうち着付士技能者の会・4名)
(4)大工職(建設ユニオン、横浜建設一般労働組合、中原建設連合会、神奈川土建北部建職、同中部建職・8名)
(5)造園工(川崎市造園建設業協同組合、県造園業協会川崎南支部、同北支部・4名)
(6)電気設備工事職〈電気技能士〉(川崎市内電気設備業連絡協議会・5名) 
(7)塗装技能士(川崎塗装工業会・5名)
(8)鍼灸マッサージ師(川崎市鍼灸マッサージ師会・3名)
(9)美容業(川崎市美容連絡協議会・5名)
(10)表具・インテリア職(川崎インテリア表具組合・5名)
(11)理容師(川崎市理容協議会・4名)
(12)和服裁縫職(神奈川県和服裁縫協同組合川崎支部・3名)
(13)自動車整備士(川崎自動車整備協議会・5名)
(14)洋裁職(川崎洋装組合・5名)
(15)広告美術職(県広告美術協会川崎支部・5名)
(16)生花職(神奈川県生花小売商協同組合・2名)
(17)タイル築炉技能職(川崎市タイル煉瓦工事工業組合・5名)有馬中のみ

職種別に仕事の内容紹介と実技指導

各教室の授業と実技指導の内容をレポートします(職種の紹介と実技指導の中身は、タイル築炉職を除き両中学共通です)。

石工職

講師から石工職の説明を受ける生田中生徒。
講師から石工職の説明を受ける生田中生徒。
(1)「石工職」の教室では生田中14人、有馬中18人の男子生徒が参加しました。石工とはどのような職業なのか、用意されたテキストをもとに仕事の内容などが分かりやすく紹介されました。石材には様々な種類があること、加工の仕方、石材施工技能士の試験があることなど、生徒たちは興味深そうに聞き入っていました。
トンカチを振るって石版に名前などを刻む有馬中生徒。
トンカチを振るって石版に名前などを刻む有馬中生徒。
実技では石灰岩で出来た9×18センチ角のライムストーンと呼ぶ石材にタガネやトンカチを使って実際に自分の姓名を彫り込んで表札を作ったり、好きな言葉などを刻み込む作業を体験しました。文字などを彫刻する際、石粉が出るので生徒たちは用意されたメガネとマスクをして、慎重に作業を進めていました。生田中の1生徒は「彫ったり刻むことが好きなので、このコースを選びました。職業体験が出来てよかったです」と感想を述べていました。
手本を示す講師(生田中)。
手本を示す講師(生田中)。
こちらもマンツーマンで指導(有馬中)。
こちらもマンツーマンで指導(有馬中)。

建築設備職

講師から配管材料のパイプの切り方を学ぶ生田中生徒。
講師から配管材料のパイプの切り方を学ぶ生田中生徒。
(2)「建築設備職」の教室では、生田中13人の男子生徒、有馬中では女子1人を含む16人の生徒が受講しました。最初にプロジェクターを使って建築設備職の仕事内容や実際の管工事作業の現場や施工した設備空間の状況が映像で紹介され、生徒たちも理解しやすかったようです。実技指導ではパソコンによる配管工事のCAD(設計支援システム)を体験しました。
ビデオを見ながら配管図面の引き方を学ぶ有馬中生徒。<br>
ビデオを見ながら配管図面の引き方を学ぶ有馬中生徒。
パソコン画面に管工事の施工図面を描いていく作業ですが、日頃パソコンには慣れている生徒たちも、「面白い」と言いながらも、初めての難しい図面引きに苦戦しているようでした。施工図面を見ながら管材を使って実際に蛇口を水道管につなげる配管実技も体験しました。
パソコンを使って実技指導(有馬中)
パソコンを使って実技指導(有馬中)

着付士

お互いに浴衣を着せあいながら着付を学ぶ生田中生徒。
お互いに浴衣を着せあいながら着付を学ぶ生田中生徒。
(3)「着付士」の教室は両中学とも和室で行われ、生田中8人、有馬中11人の女子生徒が参加しました。最初に講師から着付士の仕事について説明を受けたあと、着物の種類や用途、マナーなどを学習しました。実技では浴衣の着付、着物のたたみ方などを中心に、着付士の実際の仕事ぶりを体験するため、二人一組になってお互いに浴衣を着せ合う練習も行いました。
授業を終わって全員で記念撮影(有馬中)。
授業を終わって全員で記念撮影(有馬中)。
日頃はあまり着物に縁がなさそうな現代っ子の中学生たちですが、「なかなか筋はいいようですよ」と講師の一人が満足そうに話していました。授業が終わって「着物を着たい気持ちはあるが、どこに着ていったらよいかわからない」(生田中生徒)、「難しかったが、また機会があればやってみたい」(有馬中生徒)という感想が聞かれました。
生徒から活発な質問も(生田中)
生徒から活発な質問も(生田中)
「ここんところ、大丈夫かな」と友だちの帯結びを手伝う有馬中生。
「ここんところ、大丈夫かな」と友だちの帯結びを手伝う有馬中生。