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キラリ輝くものづくり人づくり 平成19年度掲載企業

株式会社日放電子

 情報・データの入り口から出口までのハードウエアとソフトウエアを含めたプロセスをカバーする「トータル エレクトロニクス エンジニアリング」を掲げ、幅広い電子機器分野を手がける日放電子。デジタルに加えRFアナログにも優れた技術を持つことで注目を集める。2007年3月には、川崎市麻生区黒川のマイコンシティにアドバンストテクニカルスタジオC館を完成させた。人材面では、海外の優秀な人材を積極的に活用する。多岐にわたる電子関連分野で活動する企業の取り組みを桐畑幸雄社長にうかがった。

トップインタビュー(株式会社日放電子 社長・桐畑幸雄さん)

扱っている製品はどのようなものですか。

 「当社は電気、電子装置類の開発メーカーです。その場、その場のニーズに合わせ、ほとんどが“一品料理”のような製品です。例えば、電子機器のPLLシンセサイザーは、ある帯域の周波数をスイープして変化する装置です。ちょうど一定の幅で焦点距離を変えることができるズームレンズのように、ある帯域で周波数を変化させることができる。非常に多くの電子機器に使われており、携帯電話などにも入っています。当社で作っているシンセサイザーは、100メガヘルツから2ギガヘルツまでカバーします。このような装置はアナログ装置です。今は、デジタルが『進んでいる』と思われており、アナログをやる会社は少ない。しかし、実はアナログの方が技術的に難しいのです。デジタルは、誰でも比較的簡単にデバイスの力で設計できるため、製品の値段もたたき合いになってしまいます」

他にはどのような製品がありますか。

 「FPU(フィールド・ピックアップ・ユニット=無線中継伝送装置)は、パラボラで通信するテレビの中継車や放送局などで使われます。放送局などで使われる発信器は、ノイズを出さずに波形を上げていくことが求められます。これらの原理・原則は分かっていますが、それをいかに精密に実現してゆくかが難しい点です。無線機器の制御部に使われ、一つの周波数で十数種類の情報が送れるOFDMと呼ばれる装置もあります。UHF帯の電波を利用し、複数の工場のラインをパソコンで操作する際の無線データのやりとりなどに活用されます。レコード会社などで使われる音声のピークレベルメーターは、音の強弱を表示しますが、応答の早さ、正確さが求められます。Jpegコーデックボードは、データ圧縮のコーデック技術を活用した製品です。アナログからデジタルへ、またデジタルからアナログへと変換するAD/DAコンバーター、低周波数の信号を高周波数に変換するアップコンバーターなど、それこそ多彩な製品を開発しています。」

一般市民に関係がある製品ではどうでしょう。

 「みなさんも空港で目にしていると思いますが、航空機に火炎瓶などが持ち込まれないよう、ペットボトルの中の液体の安全性を検査する装置があります。ペットボトルを置くだけで、中の液体を検査することができます。9・11テロ以降、空港の安全対策が強化されており、日本でも全国すべての空港に置かれています。詳しいメカニズムは安全性の面から公開できませんが、判別率98%という正確さです。大手ガス会社と共同開発した装置で、ガス会社が空港に納入しています。他には、1秒ごとに列車内の様子を記録する列車内映像監視装置という製品があります。これは、電車の車両メーカーに納入するのですが、1車両に4台、10両なら40台が設置され、情報を多重伝送する技術が使われます。直接的に一般の方が使用する装置はほとんどありませんが、テレビ放送など、知らない間に当社の技術に触れている可能性はあります。」

さまざまな種類の装置を手がけていますが、人材育成面では苦労はありませんか。

 「当社は正社員が約170人、パート・アルバイトを含め約220人います。このうち、20人あまりは中国、ロシア、フィリピンなど外国人の方です。当社の手がける製品は、技術的にとても難しいものばかりなので、人材の確保と育成にかかっています。相手が科学技術なので、しっかりと勉強しないとできない。日本のように豊かすぎる社会では、勉強や努力をしなくなりがちですが、それに比べると外国の人たちは、一生懸命頑張っていい生活をしたいと考えており、いい意味でハングリー精神があります。このため、15年ほど前にフィリピン人を採用し、それ以降、外国人の採用をしています」

日本語教育などが大変ではありませんか。

 「社内の一室を活用し、日本語学校を設けています。毎日午前8時から正午まで、現在は7人ほどがここで日本語を学び、午後はOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)をやってもらっています。外国人の方は、ジェトロ(日本貿易振興機構)の試験を受けて初めて社員として採用しますが、その後も、この日本語学校で2、3カ月から1年くらい日本語の勉強をしてもらいます」

社長さんは日大芸術学部のご出身で、デザインもされるということですが。

 「アドバンストテクニカルスタジオC館は私が内外装とも設計しました。事務室は電灯の明かりが直接目に入らないようにしてまぶしさを防ぎ、床に木を使った明るいデザインにしました。働く者の神経に刺さらない、優しい皮膚感覚のデザインにしたいと考えたのです。上質な椅子を備えた会議室や、屋外がよく見えるよう広くラウンドしたガラス窓を持つ開放的なスペースを階段の近くに設けています。社屋は社員が毎日過ごすところですから、それに心を砕くのは当然の事です。また、環境への貢献の一つとして屋上には太陽電池システムを備えました。営業を行わない土曜、日曜日は売電しています」

社員のコメント 鮎川早恵さん/総務部

 入社して3年目になります。当初は一般事務の仕事でしたが、現在は人事課で採用を担当しています。当社の業務の多くは手触りや形がないものなので、学生に説明しにくい部分があります。抽象的な内容をいかに身近に引きつけて説明するかに苦労しています。当社は「今までにないものを作る」という会社であるため「やったことがないからできません」では通用しません。私も、技術者ではありませんが、その精神で次々と任される仕事にチャレンジしています。最近は地方での説明会を任されたり、学生とのファーストコンタクトに当たる事が多くなりました。第一印象が大切なので、どうすれば学生が当社に興味を持ってくれるかを常に研究しています。まだまだ会社の魅力を語り尽くせて居ないと思いますので、より解りやすく当社の事業を伝達するために技術の知識を蓄えたいと思っています。それによってよりよい人材を採用してゆきたいと考えています。

【事業内容】

●電子機器、電子機器システムの開発・設計・製造
●ソフトウエア開発
●産業メカトロ機器の製造・輸入販売・システム構築
外国人社員も多い日放電子の社内
外国人社員も多い日放電子の社内
精密機器の検査に取り組む社員ら
精密機器の検査に取り組む社員ら
【会社概要】

■社 名 株式会社日放電子
■設 立 1973年3月
■所在地
 本社
  〒101-0052 東京都千代田区神田小川町2-12
  TEL03-3291-1981 FAX03-329-1983 

 アドバンストテクニカルスタジオ
  〒215-0034 神奈川県川崎市麻生区南黒川8-1 
  TEL044-989-9111 FAX044-989-8515
■代表者 取締役社長 桐畑幸雄
■URL     http//www.nippoe.co.jp