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かわさきマイスター活動レポート

第34回かわさき市民祭りにかわさきマイスターが出展

提供:川崎市
平成23年11月4日(金)~6日(日)かわさき市民祭りが富士見公園一帯で盛大に開催されました。秋の爽やかな好天の下、舞台でのイベントやパフォーマンスで雰囲気の盛り上がる中、様々なテントでの市民相談コーナーや各種企業団体のPRコーナー、そして200を越える衣食住に関わる出店があり、家族連れで大賑わいの3日間でした。なかでも、今年3月の東日本大震災で大きな被害を被られた地域の物産展では人だかりができ、応援の交流の場ともなっていて、特別の市民祭りとなったようです。

お祭り広場の一角にはかわさきマイスターのコーナーがあり、3日間の期間中に16人のマイスターの方々が技の実演と心を込めた作品の展示を行い市民との交流を行いました。
かわさきマイスターとは各種分野の多くの技術職の方々の中から、極めて優れた技術や卓越した技能を持ち、産業の発展や市民の生活を支える「もの」を作り出している現役の技術・技能職者に対し、川崎市がその“技”を認定し、川崎市内最高峰の匠として贈られる栄えある称号です。群を抜く技能はもちろんのこと、技能の未来にも思いを馳せ後継の育成にも力を尽くし、人間としての模範を目指してこられた方々なのです。皆さんも機会があれば、マイスターの人となりと作品に触れてみられればいかがでしょう。市民祭り以外にも各区の「区民祭」「技能フェスティバル」などのイベントや「学校派遣講習」などで会うことができます。

建築板金  中村 量貢さん (平成9年度認定)

中村量貢マイスター
中村量貢マイスター
展示作品
展示作品
中村さんは、マイスター制度の初年度認定のベテランの方です。住宅建築の中の板金(平たい金属板から曲面を伴う立体の製品を作り出す技術)を扱う国家資格の一級を持つ技能士です。メーカーの立体化された試作品を見て、平面に置き直した設計図を描く、試作品を量産化するうえで勘と経験によるこの手作業は欠かせないものです。展示されている屋根の上に設置される鴟尾(しび)や花瓶を見ると裏に大変な技能があることがわかります。中でも技能士一級の試験の課題の見本とその作り方の説明を受けるといかに特殊な能力が必要かに驚かされます。

★中村さんの詳しい紹介ページはこちら

刃物研ぎ・鋸目立て  石井 一夫さん (平成10年度認定)

石井一夫マイスター
石井一夫マイスター
名人の研ぎ技
名人の研ぎ技
石井さんは、現在2代目の鋸店を営んでおり、物心ついて継ぐことを決意してから親元を離れて外で修業。1人前になってから戻り、店を継いだそうです。鋸の目立ては、昔は忙しくて忙しくて大変でしたが、今はめっきり少なくなりました。しかし、需要がなくなった訳ではなく、この前も千葉在住の方がネットで探してわざわざ2本の鋸を依頼しに来たそうです。当日は刃物研ぎの実演をしていたため、取材中も何本ものハサミ、包丁等の刃物が持ち込まれます。見事な手さばきでサンドペーパーや石綿の回転研ぎ機、研石研磨機を駆使して切れ味を甦らせ、サビを取り、研磨して新品同様に仕上げていました。その動作とお話しは一芸を追求してきた職人さんだけが持つ味わい深いもので、つい取材を忘れてしまうほどでした。

★石井さんの詳しい紹介ページはこちら

洋服仕立て紳士・婦人  只木 角太郎さん (平成11年度認定)

和服生地を洋服に
和服生地を洋服に
見事な展示作品
見事な展示作品
只木さんは、オートクチュール専門のテーラー。まず、展示された女性のドレス、紳士ジャケットの見事なシルエットと洗練された色合い、デザインに驚かされました。今日は只木さんの顧客がいらっしゃる予定なのでその方の好みに合った生地やデザイン画を用意してきたとのこと。そのように物づくりには、その人の人柄、趣向、生き方まで理解するのが基本であり、それこそが注文服の要だと言います。17才からこの道に入り、60年のキャリアのある只木さんの“20年30年では一人前ではない”との言葉には重みがあります。また、ヴェネチアでの注文服のフェスタに参加するなどの国際的感覚や、打ち掛けなどの和服素材を使ったドレスという独創性など、本当に仕事を楽しんでいる様子が伝わり、話も尽きることがありませんでした。

★只木さんの詳しい紹介ページはこちら

プレス順送金型設計製作  大橋 明夫さん (平成11年度認定)

大橋明夫マイスター
大橋明夫マイスター
順送スケルトン
順送スケルトン
「プレス順送 金型設計製作」とは、一般の消費者には目につかない裏方の作業ですが、製品を作る金型製作のための工程の設計・管理を行い量産のための省力化には欠かせない技能です。大橋さんは、特に「順送」による「しぼり」(一枚の板からしごいて筒のようにする)等を得意としています。金型製作の熟練の経験から新しい手法であるCAD-CAMシステムを駆使して作業の機械化・システム化を図り、効率化と技能の継承を容易にした功績は大きいといえます。日本のハイテク産業を支えている一人です。当日は順送プレス加工の作業手順が見える「順送スケルトン」を展示され、来場者の方に説明をしていました。

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金属ヘラ絞り  鍵屋 清作さん (平成12年度認定)

鍵屋清作マイスター
鍵屋清作マイスター
人気のビアカップ
人気のビアカップ
展示されているのは大きなビアマグ。800円と書いてあり、ステンレス製の輝きがビール好きの目がとまります。他のイベントでも恒例となった鍵屋さんのビアマグの販売は大変好評で、すぐに売り切れてしまいます。
ヘラ絞りという技術は円形状の金属板を回転させながらへら棒で抑えて曲面のある製品を作り出すものです。特に機械で大量生産できない大きな製品(パラボラアンテナなど)や特別注文の複雑な形体の製品は卓越した熟練の人による技能が不可欠です。技術の進歩により、このような技術も機械化が進んでも、手絞りでしかできないものがあります。そのため、この技術がなくなることはありません。鍵屋さんは現在、後継の育成にも尽力されています。

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美容師  三上 峰緒さん (平成14年度認定)

少女の組み紐編みの見事な仕上がり
少女の組み紐編みの見事な仕上がり
夢のある編みこみ
夢のある編みこみ
三上さんは美容師界の草分けであり、第一人者として多くの美容師を育ててこられた方です。当日は、多くの作品が展示されました。展示品のマネキンのヘアを見ると、その独創性、芸術性に驚かされます。プロとしての探究心は古代中国や日本古来の伝統文化にまで及び、特に美しい水引きや組み紐を組み合わせた編み込みを「夢のある編みこみ」として、そのオリジナルなノウハウを学ぼうと、全国各地で研究講習会が開かれるほどです。写真は10才前後の女子の実演風景で、仕上がった娘を連れに来た母親が満足そうに連れ立って帰っていきました。尚、三上さんは日中美容交流にも多大な貢献をされています。

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