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かわさきマイスター活動レポート

かわさき ものづくりフェスタ

かわさきマイスターが実演と販売で川崎市が誇る技能をアピール

提供:川崎市
10月23日(土)に中原区の川崎市とどろきアリーナで開催された「かわさき ものづくりフェスタ」は、神奈川県が10月15日から10月25日にわたり開催した「技能ルネッサンス!かながわ2010(第48回技能五輪全国大会・第32回全国障害者技能競大会)」の併用イベントとして川崎市が企画したものです。この催しにかわさきマイスターも参加、実演と物品の販売を通して川崎市が誇る高度な技能をアピールしました。
とどろきアリーナは「技能ルネッサンス!かながわ2010」の技能五輪会場の1つ。その日もメインアリーナでは機械組立品など、23歳以下の青年技能者が手がけたさまざまな技術品が展示され、その技能を競い合っていました。
かわさきマイスターはエントランスホール近くにブースを展開、その技のすばらしさでとどろきアリーナを訪れた人の目を奪いました。

久保田宗孝さん: デザイン彫金士

久保田さんはジュエリー総合相談を行いました。
久保田さんはジュエリー総合相談を行いました。
装飾品の製作の全工程を一人で行うデザイン彫金士の久保田宗孝さん。その日も「デザインの写真を持ってきたら、作っていただけるんですか」というお客さんに対して、「写真やデザイン図があれば作りますよ」と答えていました。久保田さんは形がなにもないところから製品化していきます。素材もシルバー、プラチナ、金と、金属ならなんでもOK。注文は年齢層によってシルバーからプラチナまでさまざまだそうですが、最近は金の値段があがってきていることもあり、むしろプラチナを好む傾向があるとのことです。自分のもっているものを違った形にリメイクしたり、壊れているものを復元したり、その人の要望に答えてくれる久保田さん、当日もたくさんの人から注文がありました。

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竹内三郎さん: 円筒研削技能士

製品の1つをかざす竹内さん。その精密さに驚きの声が。
製品の1つをかざす竹内さん。その精密さに驚きの声が。
竹内さんは円筒研削盤により、タングステン・コバルト等の超硬合金や鋼鉄等を公差±0.001mm以内に加工する技能を保持している職人です。この加工は最終的に手の感覚ですべてを判断していきます。例えば水をかけて研磨していく場合、瞬間的に水の色が変わる瞬間で判断。火花とか出たらそれでは判断が遅すぎるといいます。使用する機械も使っていると午前と午後では膨張などで変わってくるそうです。

浅水屋甫さん: 広告看板製作 

手書きの表札は若い人にも人気
手書きの表札は若い人にも人気
浅水屋さんは筆1本で手描きの書体にこだわる看板製作の熟練者です。当日は木の表札にさまざまな書体で名前を書く実演や販売をしました。若いご時分にはロープを使って地上何10メートルの高さでガス・石油タンクのマークや倉庫の壁面文字なども手掛けたという浅水屋さんは、大きすぎてコンピュータでの処理が難しいものへの手描きも得意とするところです。
デジタル主流の現在ですが、住んでいる人の個性がでる表札などには手書き文字のあたたかみを好む人は多く、この日もたくさんの人が表札に自分の名前を手書きしてもらっていました。

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鍵屋清作さん: 金属ヘラ絞り

ヘラ絞りとは円形状の金属盤を回転させながらヘラ棒で押さえて丸い立方体を作る技術です。鍵屋清作さんはこの技の熟練工で、ロケットの先端部分を作ったこともあるほど。この日はヘラ絞りの技術を使って作ったビールジョッキを販売しました。大、中、小、とありましたが、なぜか大きいものより小さいもののほうががよく売れました。また、鍵屋さんは当日開催されたロボット大会で優秀者に手渡されるカップも実行委員会から依頼されて製作。ロボット大会で手渡されるまで鍵谷さんのブースに飾られていました。

鍵屋さんの紹介ページはこちら
当日開催されたロボット大会のカップも製作。
当日開催されたロボット大会のカップも製作。
ヘラ絞りで作ったビールジョッキ。なぜか小さいものの方に人気が。
ヘラ絞りで作ったビールジョッキ。なぜか小さいものの方に人気が。

三上峰緒さん: 美容師

三上峰緒さんは自らが創案した編み込み技術を 「夢のある編み込み」 として、独自のヘアースタイルを研究しています。この日、三上さんはブースに立ち寄った人にあわび結びの結び方などを指導しました。あわび結びは赤と白の紐でつくりますが、赤と白どちらが上に来るかには決まりがあり、本来は赤の紐が上に。三上さんはヘアースタイルにも天と地に厳格です。例えば写真のヘアースタイルは向かって右側が天で上にあがっているのが正しい形とのこと。左側は地なので髪の毛が垂れさがっています。
あわび結びの結び方を指導
あわび結びの結び方を指導
左の髪の毛が下がっています。
左の髪の毛が下がっています。

関戸秀美さん: 神社寺院銅板屋根工事

鎚起の技を使ったシルバーリング作りを実演・販売
鎚起の技を使ったシルバーリング作りを実演・販売
高欄飾りである「宝珠」などを作る槌起(ついき)の技能をマスターし、銅板屋根職人として高度な技能職を持つ関戸秀美さん。鎚起は1枚の銅板を大きさの違うさまざまな鎚や鏨(たがね)でくりかえし焼いたりたたいたりして製品を形作っていく手法ですが、当日はこの技を使ったシルバーリング作りを実演し、希望者には模様彫りの指導をしながら販売を行いました。
「天狗杯」という杯。粋筋が一種の遊びで使うもので、裏の空洞になったところにお酒を入れて飲みます。
「天狗杯」という杯。粋筋が一種の遊びで使うもので、裏の空洞になったところにお酒を入れて飲みます。
また、展示された関戸さんの作品で目を引いたのが「天狗杯」という杯。粋筋が一種の遊びで使うもので、裏の空洞になったところにお酒を入れて飲みますが、天狗の鼻が不安定のため全部を飲み干さないと杯をおけないようになっています。実際はもっと小さいものだそうですが、関戸さんが作ったものには5合のお酒が入るとのこと。試作なので銅で作りましたが、銀杯が本来の形です。

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田中司好さん: 食品サンプル

写真はすべて田中さんが作った食品サンプル。どれもおいそうですね
写真はすべて田中さんが作った食品サンプル。どれもおいそうですね
田中さんは実物を見ずに、食品の色や形を正確に再現することができる、食品サンプル製作50年の熟練職人で、最近ではマスコミの取材やテレビ出演も多数、という人気のマイスターです。
この日は来場者に実際にレタスやてんぷら、ケーキなどのサンプルを作ってもらい、食品サンプルづくりの楽しさや魅力を体験してもらいました。サンプルづくりは色のついた液状のパラフィン(ロウ)をお湯に垂らし(水だと固まってしまう)、サンプルの形に整えていくというもの。できたものは本物そっくりで、日本が世界に誇れる技術を体験した来場者からは「おいしそう」といった感嘆の声が。今は食品サンプルづくりに当日やった方法は取らないそうですが、教材的な意味合いで来場者に体験してもらうようにしています。
ケーキづくりに挑戦。作り方も本物そっくり
ケーキづくりに挑戦。作り方も本物そっくり
緑色のロウを使ってレタスを作りました
緑色のロウを使ってレタスを作りました

内海正次さん: 寝具技能士

布団の綴じを実演して高度な技をアピールしました。
布団の綴じを実演して高度な技をアピールしました。
寝具製造歴60年以上という内海正次さんは、普段からいろいろなイベントに参加してご自身の熟練した技能や、かわさきマイスターの活動を積極的にアピールしています。イベントでは若いころ身につけた冨田屋(とんだや)流の技能で、川崎市内でも内海さんだけが作れる25分の1の大きさで作ったミニチュアの「掻い巻き」や、梅花型やダイヤ型の座布団などを展示してその優れた技を訪れた人にわかりやすく説明してきました。
この日も布団の綴じを実演するなどして布団づくりの技と魅力をアピールしました。
初めて見る綿の木にみなさん興味津々
初めて見る綿の木にみなさん興味津々
当日、とりわけ目を引いたのが鉢植えされた「綿の木」。ほとんどの人が木に綿が生えているのを目にするのは初めてらしく、「え~、これマジ」、「本物なの」、「木に雪が積もったみたい」と興味しんしん。内海さんも「きれいでしょう。布団の中にはこういったものがつまっているんだと、布団の魅力を再認識してもらえればうれしいですね」と顔をほころばせていました。

内海さんの紹介ページはこちら

若林近男さん: 表具師 

ふすま紙で作った和封筒にも若林さんの技が発揮されています。
ふすま紙で作った和封筒にも若林さんの技が発揮されています。
若林近男さんは古い表具からクロス貼りまでを幅ひろくこなす表具師ですが、特に掛け軸や屏風の修復、ふすまのはりかえといった古くから伝わる高度な技術に優れた技能を持っている数少ない職人です。
イベントでは主に、その技をわかりやすく説明するために、ふすま紙で作った和封筒を販売してきました。小さな和封筒ですが、そこには若林さんの高度でち密な技が発揮されていて、手づくりの味がただよう美しい封筒にはファンもついています。これ目当てでイベントに来る人もいると聞きます。当日も並べられた幾種類もの和封筒を覗き込みながら若林さんの説明を聞いたり、購入したりする人でブース前はイベント最後までにぎわっていました。

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只木角太郎さん: 洋服仕立て(紳士・婦人) 

スーツやドレスをはじめとするオーダーメイドの世界でその技能技術を発揮している只木角太郎さんは、この世界に入って55年以上。一般的にはデザインして仮縫いをする、パターンをひく、縫製をするといった工程は別々の人が担当しますが、只木さんは全工程をお一人でこなします。また、紳士服と婦人服の両方を作るのはたいへん珍しいことで、おそらく日本では只木さん一人ではないかと言われています。アジアやヨーロッパのファッションショーにも数多くの作品を出展し、そのデザイン性と仕立ての技は高く評価されています。
当日は紙型の裁断を実演しましたが、ファッションショーへの出品作品も展示し、その独創的なデザインと華やかさを目にした人からさかんに質問がとんでいました。展示されたドレスは花嫁さんの打掛をイメージしたもので、海外のファッションショーで話題になったもの。打掛風な部分を脱ぐとこれ1枚でも着られるドレスに変身します。

只木さんの紹介ページはこちら
打掛をイメージしたドレス
打掛をイメージしたドレス
上を取るとドレスに変身
上を取るとドレスに変身