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かわさきマイスター活動レポート

かわさきマイスター食育事業

地元食材でフランス料理給食 多摩区西菅小学校

提供:川崎市

有名シェフが市立小で初協力

川崎市多摩区の市立西菅小学校で2月25日、フランス料理フルコースの給食が行われました。かわさきマイスターの食育事業として、「かわさきマイスター」調理師、小林誠一さん(多摩区菅仙谷在住)が地元産のらぼう菜を使った献立を作り、調理し、その説明をしました。
この給食は「正しい食情報と食育で、子どもたちの健全な育成に貢献し、日本の食文化、地産地消、食の安全やものづくりの楽しさを伝える」ことを目的にして実施しました。
給食には、「菅のらぼう保存会」、「セレサ川崎農業協同組合」、小林さんが勤務している「ローズホテル横浜(横浜市中区山下町)」の協力を得ました。
川崎市経済労働局、市教育委員会によると、有名シェフが市立小学校の給食に協力したのは初めてです。
西菅小学校児童が〝西菅小レストラン〟でフランス料理フルコースで給食
西菅小学校児童が〝西菅小レストラン〟でフランス料理フルコースで給食

〝西菅小レストラン開店〟

給食前の会で「多くの人の応援でフランス料理の給食が実現できました」と話す山内校長(左)
給食前の会で「多くの人の応援でフランス料理の給食が実現できました」と話す山内校長(左)
西菅小学校の教室や図書室が〝西菅小レストラン〟になりました。
午前11時45分、6年生の児童と山内玲子校長、来賓が図書室に特設された〝西菅レストラン〟に入りました。「マイスター給食前の会」の開始です。
それより3時間余前から小林さん、小林さんと同じ職場の人たち、西菅小学校の給食を世話している人たちが厨房で400人分(児童340人分、教職員と関係者など60人分)の調理をしていました。「前の晩から緊張して眠れなかった職員もいました」(山内玲子校長)
「給食前の会」は実行委員の男女児童による司会で進みました。地元食材を使っての給食についての話に、児童たちはじっと耳を傾けていました。
山内校長が「多くの人たちの応援をいただいて、フランス料理の給食が実現できました」と語りかけました。

のらぼう菜を食材に

司会者のインタビューに応じて、川崎産のらぼう菜について話す菅のらぼう保存会の高橋会長
司会者のインタビューに応じて、川崎産のらぼう菜について話す菅のらぼう保存会の高橋会長
続いて菅のらぼう保存会の高橋孝次会長が、給食に登場する地元産のらぼう菜についての司会者のインタビューに応じました。
高橋会長は、カステラやアイスクリームなど、のらぼう菜で作った川崎名産を紹介し、「大飢饉のとき人々は、生命力のある、のらぼう菜の葉っぱを食べて乗り越えました。800年前、鎌倉時代から作られてきた歴史のある、のらぼう菜をみんなで育て、次代に伝えていただきたい」と述べました。
セレサ川崎農業協同組合菅支店の藤田慎二支店長代理が「とてもおいしい川崎育ちの、のらぼう菜を食べてください」と話しました。
市教育委員会や神奈川県など関係機関、団体の人たちが給食に招かれたお礼の言葉をのべました。

待ちに待った料理が…

図書室前で料理を受け取る児童(左)
図書室前で料理を受け取る児童(左)
「一流のシェフさんが作ってくれる、きょうの給食を待っていたのよ」「のらぼう菜を使った料理って、どんな味がするのだろうか」「早くフランス料理を食べたいよー」
図書室で、6年生の児童はテーブルにふきんを置き、そのときを待ちました。
山内校長、担任の教諭らが図書室前の廊下に並んだテーブルに厨房から運ばれた料理を置きます。児童が列をつくり廊下に出ました。膳に盛り付けた料理を手にした児童が自分のテーブルに帰ってきました。
小林さんが拍手で迎えられ、着席しました。児童の大きな声が図書室を包みました。「いただきまーす」。食事の開始です。
1年生から5年生までの児童は各教室で同じ料理を担任教諭と食べました。

菅産のらぼう菜が食材に

(1)前菜・軽めのお料理=サーモンに白身魚のムース詰め、カレー風味のソース(2)お魚の主菜=メカジキのから揚げ、ラタトゥーュ添え(3)お肉の主菜=若鶏とマッシュルームの軽い煮込み(4)お肉の主菜=豚フィレ肉のロースト、粒マスターとパセリ風味(5)スープ=のらぼう菜とパスタのスープ、ミルファンテ(6)&・そして=小エビのピラフ、パプリカの香り(7)フランスパンのバジル風味トースト(8)デザート=フルーツコンポートのゼリー寄せ、イチゴ飾り、牛乳

給食で使った主な食材

白身魚のムースに使用したのは相模湾のイサキ。メカジキは三浦市三崎港に水揚げされたもの。小エビは九州の海で獲れた芝エビを川崎市北部市場で殻をむいたもの。のらぼう菜は菅地域産で、西菅小学校2年生が毎年お世話になっている菅のらぼう保存会の高橋会長が育てたものです。

おいしい、もっと食べたい

「とてもおいしい」「もっともっと食べたいよ」語り合いながらフランス料理を口に運ぶ児童たち
「とてもおいしい」「もっともっと食べたいよ」語り合いながらフランス料理を口に運ぶ児童たち
「スープに入った、のらぼう菜を食べるのは初めて。とても、おいしい。こんなにおいしいものが私の住んで居る所の近くで作られているのだから、もっともっと食べたくなりました。」(女子児童)
「のらぼう菜は初め苦い味がしたけれど、食べているうちに、おいしくなった。また、食べたいです。」(男子児童)
「豚肉にマスタードがからまり、最後はさっぱりした味でした。こんなのいままで食べたことがなかった。」(女子児童)
「フランス料理はめったに食べたことがないので、食べられるかなと、ちょっと不安でした。どれもおいしかったけれど、とくにおいしかったのはフルーツコンポート。」(女子児童)
「フランスパンがうまかった。もっと食べたいよ。」(男子児童)
フランス料理を口にしながらの児童の話しはつきません。料理がすっかりなくなりました。

次々立ち感想述べる児童

フランス料理についての説明をし、「食材の特徴ある味を生かして作りました」と述べる小林さん
フランス料理についての説明をし、「食材の特徴ある味を生かして作りました」と述べる小林さん
司会者から声がかかりました。「これから、給食終わりの会を開きます」
給食の感想を話すタイムに入りました。あちこちから手が上がります。
指名されて席から立った男子児童が「初めてフランス料理を食べさせていただき、ありがとうございました。とってもおいしい給食でした」と話しました。次々と児童が立ち上がり、感想を述べます。
「のらぼう菜は苦手だったのですが、フランス料理のスープで食べた、のらぼう菜は食べやすく、たいへんおいしかったです。」(男子児童)
「シェフの小林さんがいるホテルに行って、フランス料理を食べたくなりました。」(男子児童)
「どの料理も、おいしくて、とても幸せな気分になりました。楽しい給食をしてくださり、ありがとうございました。」(女子児童)
小林さんが司会者の紹介で立ち上がり、フランス料理の説明をし、「それぞれの(食材の)特徴ある味を生かしてつくりました。みなさんに『おいしかった』といわれ、感激しました」と話し、拍手に包まれました。
児童を代表して幸﨑茜さんが「とてもすてきなフランス料理をみんなで一緒に食べるのを楽しみにしていました。みんなを笑顔にさせる料理を作ってくださって、ありがとうございました」と小林さんはじめ、この日の給食に尽力した人たちにお礼の言葉を述べました。
 

児童からお礼の贈り物

図書室の戸が開きました。小さな児童たちが入ってきました。児童は小林さんの首に手作りのレイをかけながら「おいしい料理を作っていただき、ありがとうございました」といいました。調理をした全員に児童からお礼のレイが贈られました。
ひときわ大きな拍手のなか小林さんたちが退室し、「かわさきマイスター」食育事業の給食が閉会しました。
低学年の児童から、お礼の言葉を受ける小林さん(左端)と料理を作った人たち
低学年の児童から、お礼の言葉を受ける小林さん(左端)と料理を作った人たち

西菅小学校・山内玲子校長の話

もてなしの料理としてのフランス料理に地元産のらぼう菜も使っての給食を、多くの方々の協力で成功させることができました。子どもたちは、人と人のつながりで行えた給食であることを感じてくれたと思います。

菅のらぼう保存会・高橋孝次会長の話

小林さんの腕によりをかけた料理、みなさんの協力で、もてなしの料理・フランス料理の中に、のらぼう菜を取り入れていただき、ありがとうございました。この日の給食は児童たちの生涯の思い出になるでしょう。

かわさきマイスター、ローズホテル横浜総料理長・小林誠一さんの話

のらぼう菜を取り入れての料理は初めてで大変だと思っていました。みなさんの協力を得て、料理ができました。ホテルの同僚の協力にも感謝しています。(料理を食べる児童の)笑顔を見て、すごくうれしかった。感激しました。(児童に)職人のすばらしさをわかってもらえたと思います。「かわさきマイスター」として、すごく張り合いのある活動であることを改めて感じました。こういうことは、ぜひ継続して行ってほしいし、行いたいと思います。

小林 誠一 さん

平成12年度かわさきマイスター認定
厚生労働大臣調理従事功労賞受賞
小林さんはホテルの総料理長として、調理の全てを管理し、レシピだけでなく独自の味付けを教えるなど、持っている技術は高く評価されています。

■ローズホテル横浜
住所  横浜市中区山下町77(横浜中華街)
電話番号 045-681-3311
HP http://www.rosehotelyokohama.com/