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知っててよかった! 就職活動のサポート機関

神奈川県立 東部総合職業技術校

2013/03/04

ものづくりのノウハウがわかる総合職業技術校

 インターネットの普及で、現在、通信事業やSE関係の仕事が人気が高い。しかし、世界一の電波塔であるスカイツリーを建造したことや、「ほこ×たて」ほか、テレビ番組で日本の技術や製品が取り上げられるなど、日本企業のものづくりが見直されている。
 そこで、製造業の技術を得られる施設、東部総合職業技術校(かなテクカレッジ東部)を紹介したい。
 東部総合職業技術校は、電気や溶接・板金など、ものづくりの技術を習得する職業訓練校だ。広大な敷地と充実した設備があり、若者や意欲ある中年層にものづくりの基礎を教えている。就職率は90%を超えており(平成25年1月)、卒業した技術校生はさまざまな企業で活躍している。

施設概要

 東部総合職業技術校は、平成20年に、神奈川県にある5つの職業能力開発施設を統合した技術校。高校や大学などの教育機関ではなく、就職するためのスキルを磨く巨大施設だ。
 工業技術・建築技術・社会サービスの3つの分野に分かれており、延べ定員は約580名入校できる。さらには在職者向けのキャリア教育などがあり、いろいろな事業を展開している。
中庭風景。屋根の上にあるものは風力発電機で環境にも配慮している。
中庭風景。屋根の上にあるものは風力発電機で環境にも配慮している。

コース紹介

 コースは3分野15コースあり、企業に入ってもすぐに仕事ができる技術者育成を目指している。なかでも、複合的に技術を習得し企業実習ができるチャレンジプロダクトコースと、4種類の分野から好きなものを学べるセレクトプロダクトコースには力を入れており、就職後、多分野で活躍できるよう柔軟に対応している。
 工業技術や建築などのものづくりだけでなく、介護や給食などの設備も整っているので、福祉系の仕事を目指す人もチェックしてほしい。


―工業技術―

チャレンジプロダクトコース
 こちらのコースは「ものづくりの仕事をしたいけど、どんなことから始めればいいかわからない」という人に向いている。基本カリキュラムでは工作機械による加工、溶接作業や板金加工、機械CADによる図面や立体モデル作成、電気回路実習といったさまざまな「ものづくり」にチャレンジする。
 その後は、キャリアコンサルタントや専門分野の指導員と相談しながら、想定する企業実習先や就職専門分野に合わせて特定の技能・技術を深めていく。カリキュラム最後は「企業実習」を行い、即戦力になる技術を磨いていく。

セレクトプロダクトコース
 ものづくり企業の最前線の現場では、1人で複数の仕事をこなせる人を求めている。このようなニーズに対応するためにできたのがこのコース。
 専門分野は機械加工、溶接・板金、機械CAD、電気。ここから訓練メニューを複数選択し特定の分野の技術を磨いていく。プラスアルファの技術を身に付け、ものづくりのスペシャリストをめざすことが可能になる。

マシニング&CAD/CAMコース
 自動車や携帯電話などの型になる「金型」。このコースでは、その金型や機械部品などを制作する技術を身に付けることができる。旋盤、フライス盤など手動で操作する工作機械から、NC旋盤、マシニングセンタなど、コンピュータ制御の工作機械の操作までマスターできる。また、機械の材料、製図、測定に関する知識も基礎から学べる。
       授業風景。技術校生が材料を取り付け加工していた。
金属を加工するための機械がいくつも並んでいる。
3次元CAD&モデリングコース
 ものづくりに無くてはならない図面。このコースでは、誰が見ても同じように判断できる図面作成の技術・技能を習得する。また、近年では3次元CADが普及し、製造業では欠くことのできない存在になりつつあり、こちらもモデリングの実習を中心にじっくり学ぶことができる。
 授業風景。パソコンを使い3次元の図面を作成する。
 

電気コース
 生活に不可欠でありながら、絶対安全でなければならない電気。その工事を行えるのが電気工事士だが、このコースは最初に『第二種電気工事士』を目指し、電気工事に必要な技術をしっかり学べる。実際に自分で配線しながら確認できるので習熟も早い。さらに、生産現場で活躍する自動工作機械などに利用されるシーケンス制御(自動制御)技術も充実している。
装置制作の実習。装置は1つずつ丁寧に製作される。


コンピュータ組み込み開発コース
 スイッチ1つで動く電化製品。その製品の『頭脳』にあたるのがマイコン組込み制御システムだ。このシステムの設計・開発を行うのが「組込み開発」であり、「組込み開発」のハードウェアとソフトウェア両方の、基礎的な技術を理解できるようにするのが、このコースの特徴となっている。
 このコースでは、情報処理の基礎から知識を積み上げてプログラミング技術を学ぶ。ハードウェアを制御するプログラムを中核に、幅広い内容を習得することができる。

自動車整備コース
 このコースでは2級自動車整備士を目指す。
 また、本来自動車整備士になるためには、一定の受験資格を満たしたうえで、国土交通省の自動車整備士技能検定「学科試験及び実技試験」を受けて合格しなければならないが、こちらのコースなら、修了することで受験資格が得られ、さらに実技試験が免除される。
ボンネットを上げて装置を確認する技術校生。
複数の自動車を整備。なかにはハイブリッドカーもあり設備が充実している。


機械CADコース
 こちらのコースは3次元CAD&モデリングコース同様、図面作成の技術・技能を習得する。3次元CAD&モデリングコースと比べて、半年のカリキュラムなので、短期間で技術を学びたい人に向いている。

溶接・板金コース
 溶接や板金はものづくりを支えるために欠かせない技術で、あらゆる分野で活躍できるチャンスがある。
 溶接では、ガス溶接やアーク溶接の基礎から始めて、アルミやステンレスなどの特殊金属の溶接までマスターする。板金では、材料を図面通りの形状に切断するためのレーザー加工機、それを立体的なカタチに変えるNCプレスブレーキ、それらの作業の元になる図面とプログラムをパソコンで作るといった、一連の板金加工工程を学ぶ。
技術校生の作品。
 授業風景。溶接を行う機械がいくつも並んでいる。


―建築技術―

建築設計コース
 将来の建築設計技術者を目指す。なお、通常、実務経験7年で受験資格が得られる『2級建築士』だが、このコースを修了すれば3年で受験資格が得られる。訓練では、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造をベースにした各種建築物の計画、構造、設備、施工、関係法規、設計製図、CAD操作など、建築技術の知識と技能が身に付く。

造園コース
 造園師の仕事は、注文主の考えや好みを聞いたうえで設計し、工事を指揮監督しながら自らも作業に加わる。このコースでは造園師の仕事に必要な知識や技能を学ぶ。樹木の管理を中心として、竹垣、飛石、レンガの施工など、実際に庭づくりをしながら必要な技術を身に付けることができる。
 実習場所は屋外のため、冬場は焚き火で身体を温めながら行う。また敷地内には技術校生の作った作品がいくつもある。


室内施工コース
 室内施工の仕事と一口に言っても、提案、計画、設計、施工、管理、アフターフォローとその分野は幅広い。
 このコースでは、壁や床などの内装の仕上げに加え、電気配線や水廻りの配管・住宅設備の取り扱いなどを学び、幅広い工事に対応できる内装施工技術者を目指す。
 左が座学用の教室。すぐ横には実習場がある。水道場のタイルは技術校生が応用実習で施工したもの。
 階段をあがれば壁装仕上げ、床仕上げ、配管などの作業を行うスペースが、1人1台ずつある。
ビル設備管理コース
 オフィスビルやデパート、公共施設などで利用者が心地よく過ごせる環境を維持するのがこの仕事。ビルを管理するには、知っておかなければならない知識がたくさんあり、電気設備はもちろんのこと、冷暖房を行う空調設備、給水・排水、トイレなどの衛生設備に関する知識から、実際の管理の仕方まで身に付ける必要がある。
 こちらのコースでは、『第二種電気工事士』の資格のほか、『二級ボイラー技士』『危険物取扱者(乙種第4類)』『高圧ガス製造保安責任者(第3種冷凍機械)』などの資格を取ることを目標にしており、大変奥深い。
実習中の様子。ビル設備管理は電気系の知識も学ぶ。
実習室の後ろには、独特な装置がある。

 
―社会サービス―

ケアワーカーコース
 ケアワーカーは在宅や福祉施設などで、高齢者や障害者の身体介護や生活援助、介護をしている家族への相談・助言などを行う仕事だ。このコースは国の定めた『実務者研修』に対応した内容となっており、6か月に及び知識と技術を学ぶ。このカリキュラムを履修すれば、実務経験3年で介護福祉士の受験資格を得ることができる。
左は家政実習室。流しやレンジなど、調理のための設備が整っている。
右が介護実習室1。複数のベッドがあり、集団で体験授業を行う。
実習室2。洗濯機や浴槽などがあり家事全般を習う。また本物のような人形が置かれ、実習で使っている。
 
給食調理コース
 給食調理員は病院や福祉施設のほか、学校や保育所、事業所など給食調理における活躍の場は広い。
 基礎となる衛生管理を学ぶとともに、繰り返し大量調理を行い技術を身につける。また、8日間程度の現場研修を行うことで、即戦力となる人材を養成する。
授業風景。大量調理は個々の技術だけでなく、チームワークも必要とする。各グループ話し合って役割分担を決めていた。

技術校生の声

工業技術分野 3次元CAD&モデリングコース 30代男性

「私が東部総合職業技術校に入校したのは、デザイナーとしての表現力の幅を広げたかったからです。
 元々は美術大学のデザイン科を卒業し、その後は内装設計やプロダクトデザインなどの仕事をしてきました。仕事では設計図やスケッチなど2次元での表現をしていましたが、3次元での表現の必然性を感じ、独学で勉強してみたものの限界があると感じました。
 そんな中、インターネットで調べていると技術校を発見しました。オープンキャンパスや体験入校に参加し、実際の授業内容やPCなどの学習環境を確認して、会社を退職して基礎から勉強しようと決意しました。
 受験については、有給休暇を利用して図書館に終日こもって勉強をしました。科目内容は高校卒業レベルの国語と数学でした。
 私が選んだのは3次元CAD&モデリングコースで、パソコンを使って3次元モデルを作成しています。授業は、基礎的な製図から始まり、とにかく頭の中で平面情報から立体を起こすことを一から学びます。現在は、様々なペットボトルやシャンプーの容器など複雑な形状を3次元モデル化することを学んでいます。個人的にその作成した3DデーターをスマートフォンやタブレットPCなどのビュワーアプリに取り込んで、就職活動に利用しています。
 ちなみにこちらのコースは、主に機械などの工業製品を3次元化する授業なので、CGやアニメーションなどの映像用モデリングではありません。実際に製品になるモノのデザイン、設計をするための技術です。
 学校生活ですが、大学と違って、様々な業種を経験してきた人たちが集まって来ているのが面白いです。自分の周りには金型製造業やアパレル業出身の人などがいて、私はこれまでデザイン関係の人ばかりに囲まれていたので、とても新鮮で良い刺激になりました。就職に向けて互いに切磋琢磨する、いい仲間です」
「進路はもう決まっていて、次の仕事はデザイン性の高い雑貨や生活用品などを手掛ける設計事務所に入社します。以前の仕事は、2次元での表現しかできないために、何をおいても情報伝達、意思疎通に苦労をしていましたが、3次元でモデル表現ができるスキルを得たことで、クライアントや協力メーカーにもスムーズに説明がしやすくなったと思います。いつかは海外の製品など、世界に通用する仕事をしていきたいです」

利用方法 入校手続き

 入校時期は年4回。だが、コースによって募集する入校時期が異なる。
 申込みは、一部の例外を除きハローワークで相談・手続きをする。その後、学力検査と面接を受け、合格した者が入校する。
 料金は、短期課程であれば授業料は無料。普通課程でも授業料は月額9900円、年額118,800円(取材時現在)と比較的低額で利用できる。ただし、教科書代や作業服代は自己負担(経済的な事情等、一定の条件を満たす方にはそれらを無料で支給される)。
 なお、一定の条件を満たす雇用保険の受給資格者には、手当が支給される場合があり、雇用保険を受給できない方でも、条件を満たせば求職者支援制度を利用できる場合がある。
 入校希望者はハローワークへいき、説明を受けるといいだろう。
 どのコースにするべきか悩む者は、オープンキャンパスで施設を見学するほか、コース担当の職員と相談して検討することもできる。体験入学も実施しているので、参加するのもいいかもしれない。
 また、藤沢市にある関連施設の人材育成支援センターでは、職業能力開発相談のためのキャリアコンサルティングを受けられるので、それを利用すると、より効果的に適性に合わせたコース選択ができる。

就職状況

 優れたカリキュラムや高い技術もあって就職率は92.1%(取材時現在)を誇る。その就職率の高さの理由は、求人開拓推進員が配置されているからだ。求人開拓推進員はコースの担当職員と連携し、技術校生の話を聞いて、適性を考慮しつつ内定までサポートをしている。

 平成25年4月には、神奈川県立 西部総合職業技術校が秦野市に開校するので、横浜まで遠いという人には、そちらを検討してもいいだろう。
 ちなみに東部総合職業技術校のサイトはこちら。

 http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f4406/

 新しい年が始まり、これから就職活動に向けて、東部総合職業技術校でものづくりのノウハウを学んだらいかがだろうか。

お問い合わせ

株式会社フューチャーリンクネットワーク(TEL:047-495-0635)
川崎市経済労働局労働雇用部(TEL:044-200-2276)

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