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ZOOM UP:かわさきの元気企業

第17回 (株)アルファメディア 小湊社長に聞く

福祉・教育に貢献するIT企業

2013/09/26

“人に優しいマルチメディアをあなたと共に創造する”と理念を掲げた2代目社長の会社経営は、最初から順調ではありませんでした。
システム開発について何の知識も持たずに入社、先輩社員との確執、そして事業継承の決意、リーマンショックによる経営の危機……。
様々な苦難を乗り越え、今改めて “社員が将来を託せる企業”というビジョンを掲げ、突き進んでいる株式会社アルファメディアの小湊宏之社長にお話しを伺いました。

「川崎ものづくりブランド」に認定された『かいけつ出席』とは、どのようなシステムですか

自社製品の「かいけつ就業」と「かいけつ出席」
自社製品の「かいけつ就業」と「かいけつ出席」
『かいけつ出席』は、学生証(ICカード)を利用した出席管理システムです。2006年に販売を開始して、その後友達の学生証も持って1人で何人分もの出席(代返)をとることができないように、学生証と座席に設置したICカードでダブルチェックする『かいけつ出席(代返防止版)』も販売しています。
ハンディタイプのカードリーダーなので取付工事が不要。データはUSBやSDカードでパソコンに取り込み、Microsoft(R)Excelで利用できるので、手軽に導入することができます。現在30校ほどで1,000台近くご利用いただいています。

『かいけつ出席』は、単なる出席管理の効率化や代返防止だけのためのシステムではありません。最近の日本の大学は質が下がっているように感じませんか。授業に出ない生徒もそうですが、簡単に休講にしたり、講義に遅刻してきたりする教授も含めて。
この『かいけつ出席』が出席管理という面から、大学の質の向上に貢献できるのではないかと考えています。
……経営ビジョンとして掲げられている「福祉・教育・個人/企業のIT化」を通して、社会貢献していくことを熱く語る小湊社長。しかし、ここまではっきりとビジョンを持つようになったのは、最近だといいます。

入社当時は、どのような思いがありましたか

アルファメディアは、父である先代(小湊基行現会長)が長年勤めた富士通を辞めて、「中小企業のIT化支援と教育・福祉に貢献したい」という思いで立ち上げた会社です。世界初の日本手話電子辞書「ムサシα」を開発し、神奈川工業技術開発大賞を受賞しています。
そんな父の姿を見ながらも、若い頃の私はITに全く興味がなく、会社を継ぐなどと考えたこともありませんでした。

大学卒業後2年間勤めた会社を辞めてブラブラしていた時に、「うちで働かないか」と父(現会長)に誘われて入社したのですが、パソコンを使うことすらできず、周りから全く相手にしてもらえませんでした。取引先との打ち合わせに同行しても、内容が全く理解できない。「こんなことではダメだ」と感じ、無料セミナーを見つけては参加し、ITに関して猛勉強を始めました。
数年程がむしゃらに勉強して、「この業界で何とかやっていけるかな」と思い始めた時、父が脳梗塞で倒れまして……。「身内が継いだ方がいいのかな~」という気持ちが、やっと芽生えてきました。

社長就任はスムーズにいきましたか

社長就任前に専務になったのですが、先輩役員が技術者を連れて辞めてしまい、それを発端に退職者が続々……。社内がどんどんゴタゴタしていきました。
『自分が何か発言すると嫌われるのでは……』という思いから、萎縮してしまい、社員と話しをすることもできなくなり、ますます良くない方へ……。

その頃、たまたま悩みを打ち明けた先輩経営者からのアドバイスで、「自分のビジョンを社員に伝えなければ、誰もついてきてくれない」ということに気づいたんです。
会社の経営ビジョンに「社員が将来を託せる企業」と付け足し、若手社員の研修に自ら参加したりしてコミュニケーションを積極的にとるようにしました。

それで、なんとか2008年に社長に就任。
やっと、社内が落ち着いて来た頃、今度はリーマンショックの影響で大赤字です。
会長(先代社長)から面と向かって「社長を辞めるか」と問われ、対外的な会社の信用のためにもと思い「辞めるよ」と答えると「バカヤロー!そんな軽い気持ちで社長をやっていたのか」と一喝されてしまいました。

社長としての自分の覚悟のなさに、改めて気付かされてしまいました。

もう一度自分の中で、会社の歴史や理念、ビジョンを紐解いて分析したら、やっと、やるべきことが見えてきたんです。それが「福祉と教育」。アルファメディアの原点はやはり、日本手話電子辞書『ムサシα』なんです。


これからのことをお教えください

視覚障害者向け歩行支援システム(試作機)
視覚障害者向け歩行支援システム(試作機)
ちょうど社内が落ち着いてきた頃、神奈川県と川崎市から「障害者の就労支援はできないか」と、声をかけていただきました。
中高年(シニア)・初心者向けのパソコン教室「富士通オープンカレッジ」を運営しているので、障害者の就労支援もできると確信し、2010年から障害者の就労支援のためのパソコン講座を開始しました。

それと、
視覚障害者の3人に2人は駅のホームからの転落経験があると聞きました。これを少しでも減らしたいという思いで、今『視覚障害者向け歩行支援システム』の開発を手がけています。3年後をめどに製品化する予定です。

教育に関しては、『かいけつ出席』の利用者の声を聞く度に、日本の大学の質の向上に貢献していけることを実感しています。引き続きシステムの改善と販売に力を入れていきます。
……「福祉と教育」を得意とするIT系企業としての知名度も高まり、その分野の開発チャンスがますます増えているようです。

川崎市について

川崎市は職員の方が自ら中小企業の現場を知ろうとしてくれています。
また、助成金やサポート制度を作るだけでなく、それらがきちんと運用されるように手伝ってくれます。例えば、ものづくりブランドに認定した製品をどんどんセールスしてくれたり……。我が社では、補助金や知的財産交流会なども利用させていただいているので、川崎市には恩返ししたいという思いがあります。
……「人見知りなので、自分の考えていることを面と向かって社員に伝えるのは苦手」と物静かに語る小湊社長。この記事を読んだ社員や周囲の人が、小湊社長の熱い想いをより理解してくれることでしょう。

今後もアルファメディアから「福祉や教育に役立つ製品」が生まれることを楽しみにしています。
株式会社アルファメディア
住所:神奈川県川崎市中原区小杉町3-264-3 ユニオンビル1F・3F
TEL:044-712-7481
ホームページ:http://www.alphamedia.co.jp/

お問い合わせ

株式会社フューチャーリンクネットワーク(TEL:047-495-0635)
川崎市経済労働局労働雇用部(TEL:044-200-2276)

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