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Voice:就労応援事業所の紹介

第2回 成田生花店

「働く喜びとやりがいを若者達にも見つけてもらいたい」成田一雄さん

2014/09/16

武蔵新城駅前の「新城あいもーる(新城商店街振興組合)」、夕方の買い物客でにぎわう通りの中にある、成田生花店。こちらでは、「かわさき若者サポートステーション(以下「サポステ」)の若者をはじめ、多くの方の職場体験を受入いただき、また多くの方が、ここから新しい一歩を踏み出しています。
店主の成田一雄さんにお話を伺いました。

地域に根付く、まちのお花屋さん

取材時には、近隣のお店の開店10周年記念のスタンド花を製作中でした。取材中、店先にダックスフントがやってきました。
「うちの看板犬です」
こちらで飼ってらっしゃるんですか?
「いいえ、お客様の犬なんですよ(笑)」
このワンちゃんはいつも来ているようで、店先に腰を下ろして、通りを眺めています。
地域に根付き、親しまれるお店の由来から伺いました。

お店はいつごろから営業されているのでしょうか。

創業は昭和10年代で、私は3代目になります。近隣で移転したそうですが、創業当時からこの付近(新城あいもーる)にあると聞いています。

お客様は地元の方が多いのでしょうか。

武蔵新城駅前「新城あいもーる」
武蔵新城駅前「新城あいもーる」
地元の方が多いですね。お客様の年齢層は幅広いですが、年配の方は仏花を買いにいらっしゃる方が多いです。女性だけでなく、最近は男性のお客様も多いんですよ。結婚記念日、お子さんの誕生日等の贈り物として買いに来られます。母の日やクリスマスの時期が繁忙期ですが、限られたスタッフで対応しているので、なかなか業務をさばけないのが悩みですね。
武蔵新城は商店街が有名ですが、大手スーパーができ、商店街の工事の関係もあって、お客様は減少傾向にあり、工夫が必要になっています。成田生花店でも、ダンウェイ株式会社さんのICT治具を使ってホームページを作成しました。

新しい商品づくり「レインボーフラワー」

お店の中を見せていただくと、カラフルな「レインボーフラワー」が目に飛び込んできます。鮮やかな発色のカーネーション、花びらによって色が異なるレインボーカラーのバラ。

このレインボーカラーの花は本物なのでしょうか。

皆さん驚かれるんですが、このお花は本物なんです。生花専用のインクを使用して、生花を染色しているんですよ。花びらによって色が異なるのは、茎を分断して違う色のインクを使用しているためで、こうするとレインボーカラーの生花を製作することができるんです。生花の持ちに影響はなく、カーネーションは持ちが良くなるほどです。
市内で製作しているのはうちくらいではないでしょうか。一度挑戦してうまくいかなかったのですが、知り合いのお花屋さんから教えてもらって再挑戦したんです。
花束やスタンド花のアクセントになるので、ご好評いただいています。

職場体験の受入について

若者をはじめ、多くの方の職場体験を受け入れていただきまして、ありがとうございます。受け入れを始めたきっかけは、どのようなものだったのでしょうか。

最初の受入は、中学生の職場体験でした。今から10年以上前になります。その次がサポステですね。3年前くらいでしょうか。横浜若者サポートステーションさんと、商連かながわさんから、サポステ利用者の体験受入先を募集していると聞いて、うちで受け入れてもいいよ、と手を挙げたんです。横浜サポステさんと一緒に川崎サポステさんが来られて、若者の受け入れが始まりました。
その後、聾学校の生徒さんの職場体験を受け入れました。私はPTAの会長をやっていたんですが、その時に体験受入先がなかなか見つからないという話を聞きまして、手を挙げました。その後は障がい者の方の職場体験や、生活保護の方の職業実習も受け入れています。

受入をした方は、どのようなお仕事をしているのでしょうか。

商品の出し入れ、植木の水遣り、枯れた葉っぱを摘むなどの作業、お花の水の交換、お客様がいらした時の簡単な対応等を体験してもらっています。

お仕事をしながら体験者に目を配るのは大変だと思いますが、実際に受け入れてみて、どのように感じますか。

色々な方を受け入れていますが、とりあえず連れてきてみたら、という気持ちです。
皆さん、仕事は結構できていると思います。職場でパワーハラスメントなどを受けて、自信をなくしてしまっている方もいるようですね。仕事をしながら、そんなに気にしなくて良いんだよと言ってあげると、顔が晴れていくのが分かります。
うちで体験した方から、その後就職が決まった、就職活動を始めたなど、報告をもらえると、少しは役に立ったんだなと思えて嬉しいですね。昨年受入をした方、確かニートの女性の方でしたが、最後の方は自ら会社に検索し応募して、積極的に面接に行けるまでになったと聞いています。うちでの体験を通して、働くことは楽しいことなんだと感じてもらえたら良いですね。

受入する際に、気をつけていることなどはありますか。

何でも肯定的に見るようにしています。自分に自信を失くしている方も多いので、その方の良い所を見つけて、誉めるように心がけています。注意する所があったときは、ここは直しながらやってみようと、と伝えるようにしています。

成田さんの心配りのおかげで、こちらで職場体験をした若者はその後就職できる方が多く、サポステでは「成田山詣」ならぬ「成田さん詣」と呼ばれているほどです。

働くってこんな感じでいいんだ!と思って、仕事を探す気になっているんじゃないでしょうか(笑)。
障がい者就労支援をするダンウェイ株式会社さんからの受け入れもしていて、先日は動画公開のためにインタビューを受けました。

生花店のやりがい「届けたお客さまの最初の笑顔」

仕事をする上で、何か心がけていることはありますか

お客様の希望に沿えるように心がけています。お花は誰かへのギフトで買う人が多いですから、贈る相手がどんな方か、どのような目的で贈るかなどを、うまく聞きだせるように配慮しています。

お店を継がれたきっかけは

最初はお店を継ごうとは思っていませんでした。昔からお店を手伝っていて、お花のロスが出るのが悲しかったんです。25歳になるまでは、ダイビングインストラクターをやっていました。弟と妹が手伝っていたのですが、妹が結婚して、父が体力的に大変になったことで、私もお店を手伝うようになりました。

ダイビングのインストラクターとお花屋さん。全く違うお仕事ですが、家業を継がれてから、どのように感じてらっしゃいますか。

ダイビングのインストラクターのやりがいは、ダイビングができなかった人が、できるようになったときの嬉しい顔を見られることです。一方で、お花屋さんのやりがいは、届けたお客様の、最初の笑顔が見れることです。
例えば、記念日や贈り物として、自宅にお花をお届けすることがあります。届けた方に、『注文してないわよ』と言われることもありますが、『○○さんからの贈り物です』とお伝えすると、うわーっと喜んだ顔をしてくださるんです。この、誰かの喜ぶ顔を一番最初に、特等席で見られるのがお花屋さんの喜びです。
お客様の嬉しい顔が見られること、ダイビングのインストラクターとお花屋さんは全く違う仕事ですが、ここは共通する点ですね。こういった働く喜び、やりがいを若者達にも見つけてもらえたら良いなと思います。
生きていく中で、うまくいかないことは沢山あると思います。でも、それは失敗ではなく、うまくいかないことが積み重なって、成功に繋がると思います。仕事を探している若者は、うまくいかないことに挑戦している、まさにそういった段階にあると思います。
疲れたら休んでも良い。
休んだ後に、また挑戦すればいい。
だから、是非とも挑戦し続けてほしい。
私からも、若者へのエールを送りたいと思います。
お花への心配り、お客様への心配りと同じように、体験する若者達へも心配りいただく、成田さんの温かい人柄が感じられました。武蔵新城にいらしたら、珍しいレインボーカラーのお花、成田さんの心配りを受けたお花をお買い求めください!

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株式会社フューチャーリンクネットワーク(TEL:047-495-0635)
川崎市経済労働局労働雇用部(TEL:044-200-2276)

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