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ものづくりの魅力を聞こう

平成23年度 ものづくり講演会レポート

川崎市では、高校生や大学生などの若い人達に向けて、ものづくりの面白さや中小企業で働くことの魅力をお伝えする「ものづくり講演会」を開催しています。

市内の中小製造業を経営している社長さんや、実際に製造業の現場で働いている技術者さん、そして、元気なものづくり中小企業を応援している方々を講師にお迎えし、ものづくりの大切さ、楽しさ、時折ある辛いことなどを、わかりやすくお話いただいています。

ものづくりの面白さ、中小企業の魅力を覗いてみましょう。

平成23年度は、県立向の岡工業高校で2回、県立川崎工科高校で1回、専修大学で5回にわたって、ものづくり講演会を開催しました。その中で、向の岡工高で3月に開催された講演会の様子をレポートします。

■日時:平成24年3月8日(木) 
■対象:神奈川県立向の岡工業高等学校 1年生・2年生(機械科、電気科、建設科)
■講師:株式会社近藤工芸  代表取締役  近藤 眞一(こんどう・まさかず) 氏
 (株式会社近藤工芸のWEBサイト http://www.kondo-kogei.co.jp/
講師の紹介
(近藤社長はこんな方です)

工業高校電気科を卒業後、1985 年 父が創業した近藤工芸に入社、看板の文字書きなどの修行を経て、2006 年に代表取締役に就任、屋内外の看板製作工事全般を生業とする。現在は、鉄道施設内サイン、小型太陽光発電による独立電源構想の設計・製作・施工等を手掛ける。 小さな会社である事の特性を生かし、柔軟性と機動力で、現場主義の視点や社内の意思統一に取り組む。時代に即したニーズに応える為、情報収集から特許技術・経験・ノウハウ・アイデアを活用して、皆様のお役に立ちたいと考える。
なお、自社開発製品の省エネルギー照明装置「デルタレイズパワー」は川崎かわさきものづくりブランドに認定されている。

テーマ: 「宇奈根のオンリーワン~誰からも「スゴイ」と言われるものを目指す意味」

講演の様子
講演の様子

近藤工芸のなりたち

近藤工芸は父親が創業しましたが、最初はいわゆる“文字書き”(例えば、おそば屋さんの壁に貼ってある毛筆で書かれたメニュー(お品書き))などを下書きなしの、ぶっつけ本番で書くお仕事をしていました(「一発書き」と呼ばれるそうです)。
時代の変化によって、薄れていく父親の仕事を支え、時代に合わせて仕事を進化させていき、建物の壁面に文字を描いたり、大型のプリンターを使って印刷したものを貼り合わせて、ある大企業の研修施設の壁面をキレイに装飾したりと、時代に合わせて業務を変化させていったそうです。

資格・コミュニケーション

近藤社長は工業高校電気科の出身ですが、さまざまな仕事に対応できるよう電気を使用する看板に必要な電気工事士免許を取得する他、足場作業主任・有機溶剤作業主任など、電気以外の資格も積極的に取るようにしました。どの学科に属していても、いろいろな知識を知るだけで、他の人よりも一歩先んじることが出来ることができるので、資格は持っていて損はないとのことです。
近藤工芸は社員が少ない小集団(中小企業)だからこそ、全員が同じ完成形をイメージして仕事をするのが重要で、そのためにコミュニケーションや情報交換を大切にしているそうです。

オンリーワンへの挑戦

近藤工芸では、壁面装飾のほかにも、駅のサイン(時刻表)なども手掛けています。この仕事は、昔は気の遠くなるようなシール貼りの作業だったそうですが、この非効率さに我慢出来ず、デジタルデータを出力(印刷)するという方法を提案しました。また、駅などの床にはってあるフロアサインの制作を担当することになった際、滑りにくくする工夫などに取り組みました。その結果、ある鉄道会社でのフロアサインのほぼ全てを近藤工芸が担うことが出来るようになったそうです。まさに“オンリーワン”企業となったわけです。
また、『デルタレイズパワー』というLED照明の開発にも取り組みました。これはLEDが持つ様々な弱点を、近藤工芸が開発したレンズ構造で解決し、特許化に成功したもので、その製品の独自性が評価され、川崎市などから “川崎ものづくりブランド”に認定されました。こちらも“オンリーワン”製品ですね。

メッセージ

講演の様子
講演の様子
『若い皆さんには、積極的に課題に挑んで、その中で自分の長所/短所を見つけて欲しいですね。そして、360度の視野(視点)を持ち、自分の得意分野を作ってください。課題に取り組む中で「自分らしさ」(オンリーワン)を見つけましょう。
また、私自身が会社を経営していく中で心掛けているのは、“小さな会社でもオンリーワンになることは夢であり、それを続けてゆくことが大事である”ということです。』