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技連協活動レポート

「技能職者に学ぶ」職種別講義(東高津中)

技連協が11職種、49人の技能職者を講師に派遣

提供:川崎市技能職団体連絡協議会

技能職を理解し、進路・職業選択への指針に

平成22年3月2日(火)午前、川崎市立東高津中学校で川崎市技能職団体連絡協議会(技連協)主催による「技能職者に学ぶ」職種別講義(指導)が行なわれました。川崎市と連携して同協議会がここ数年来、市内の小・中学校を対象に行っている後継者育成事業の一環で、同日は東高津中3年生全員117人が参加しました。講師陣には技連協加盟の11団体(11職種)から49人が参加しました。

卒業間近の3年生に職種別講義と実技指導

職種別講義(指導)は技能職者を中学校へ講師として派遣し、技能職者が長年培ってきた技術・技能を体験学習などを交えながら中学生に紹介することにより、自分の進路や職業について考えるきっかけをつくり、また、技能職についての理解と知識を深めることを目的に実施するものです。この日も卒業式を間近に控えた3年生がそれぞれ希望する職種を選択し、その道のプロたちから具体的な仕事の内容を聞き、また実際に作業を体験して、技能の奥深さと、将来の職業選択への予備知識を学びました。

ものづくりの大切さを訴え、将来の職業選択を考える

技連協の山本委員長から講師の紹介を聞く生徒たち。
技連協の山本委員長から講師の紹介を聞く生徒たち。
授業は午前9時30分から始まりました。はじめに技連協の山本知男後継者対策委員長が体育館に集合した生徒たちを前に講師陣を紹介した後、この日の講義の意義などを話しました。その中で同委員長はものづくりの大切さを説き、講師としてきょう指導してくれる技能者たちがいかに社会のために役立つものをつくっているかなど、技能職について分かりやすく説明しました。そして将来の職業選択を考える時のプラスにして欲しいと訴えました。これを受け生徒代表が「11業種もの、たくさんの仕事を皆んな初めて体験します。よろしくお願いします」とあいさつを返しました。

参加した11業種と講師を派遣した団体名

この後、職種ごとに準備された教室に分かれ、各職種の仕事内容などの紹介を交えながら、実技などの体験を行ないました。参加した職種は以下の通りです(カッコ内は団体名と派遣講師数)。
① 表具・インテリア職(川崎インテリア表具組合・5名)
② ガラス職(川崎市板硝子商工業組合・5名)
③ 着付士(川崎着付士協会・4名)
④ 和服裁縫職(神奈川県和服裁縫協同組合川崎支部・3名)
⑤ 大工職(川崎建設組合連合会ほか・5名)
⑥ 電気設備工事職(川崎市内電気設備業連絡協議会・5名)
⑦ 美容業(川崎市美容連絡協議会・5名)
⑧ 洋裁職(川崎洋装組合・5名)
⑨ 生花職(神奈川県生花小売商協同組合・2名)
⑩ 広告美術職(県広告美術協会川崎支部・5名)
⑪ 建築設備職(川崎市管工事業協同組合・5名)

11教室に分かれ仕事の内容紹介と実技指導

各教室の授業ぶりを覗いたレポートをしていきます。

「表具・インテリア職」(表具経師)

熱心に講師の説明を聞く生徒たち。
熱心に講師の説明を聞く生徒たち。
①「表具・インテリア職」(表具経師)の教室では12人の男女生徒が参加しました。最初に表具経師の仕事やインテリアの仕事内容が紹介され、そのあと、ベニヤ板に和紙を貼り、紐を通して壁掛けを作る実習が行なわれました。
実際に作ってみました。
実際に作ってみました。
表具経師という言葉自体、生徒たちにはなじみが薄く、ほとんどが初めてのようでした。それでも、インテリアに関する仕事ということで、講師の説明に耳を傾け、熱心に実技の指導を受けていました。今の時代の子どもたちにとって町中で「表具経師」の看板を掲げた店を見ることはあまりないでしょうが、今日の授業を通じ表具経師の職業内容をしっかりと理解したようです。

「ガラス職」

ガラスの基本的なことを学びました。
ガラスの基本的なことを学びました。
②「ガラス職」の教室では生徒9人が参加。板ガラスの効用、多機能ガラスの紹介、各種ガラスの製造法、基礎的な住宅用サッシの機能・構造などについての写真入りのテキスト「ガラス屋さん」が用意され、ガラス職人に関わる仕事内容が分かりやすく説明されました。
実技にも力が入ります。
実技にも力が入ります。
実技・体験ではガラス切断、住宅用サッシの組み立て(ガラス装着)、網戸ネット張りなどが行われました。生徒の一人は「ガラスを切るのが結構難しかった」と言っていました。テキストにはガラスの各種施工現場の写真や商品販売の実例も載せられ、生徒たちはガラス職人の仕事の幅広さを理解したようです。

「着付士」

振り袖の着付も体験しました。
振り袖の着付も体験しました。
③「着付士」の教室は和室で行われました。講師から着付士の仕事説明を受けたあと、待ちかねていた参加女生徒10人の気持ちに応えるかのように、すぐ着付の実習に移りました。
全員着飾ってハイ、記念写真。
全員着飾ってハイ、記念写真。
浴衣の着付、半巾帯の結び方などを学び、1人は振り袖を体験しました。「いま15歳だから、あと5年は振り袖着れるわね」と講師の着付士さんから言われた振り袖初体験のこの生徒は、はみかみながら笑顔を見せていました。「着物を着るのは七五三以来」という生徒もおり、日頃はあまり着物に縁がなさそうな実習生たちでしたが、「かわいい!」とお互い誉め合いながら、講義が終わると嬉しそうに全員、着物姿で廊下に飛び出して行ってしまいました。

「和服裁縫職」(和裁士)

和布を使った小物作りに挑戦しました。
和布を使った小物作りに挑戦しました。
④「和服裁縫職」(和裁士)の教室では4人の女生徒が参加し、和裁師の仕事内容が紹介されました。そして女長着名称完成図をもとに鯨尺(寸法)についての説明がありました。講師によると、旧尺貫法の鯨尺は和裁の仕事ではまだ健在で、その使い方を知ることが大事と生徒に教えていました。
「和裁の基礎は針の運び方」と教える講師。
「和裁の基礎は針の運び方」と教える講師。
実技指導では、針の持ち方や縫い方など和裁の基礎技術である運針と和布を使った小物づくりを体験しました。業務用の縫い針は一般に使う針よりも細いということで、日頃はほとんど針など使わない生徒たちは苦戦していました。また、講師は海外縫製品と日本の縫製品の差を説明し、日本の縫製技術の素晴らしさを説明していました。

「大工職」

カンナ掛けに挑戦。
カンナ掛けに挑戦。
⑤「大工職」の教室は木工室で行なわれました。まず、かつては日本の家づくりの主役であった大工職の仕事を紹介。近代化した現代の建築の中でどのように仕事が変化しているのか分かりやすく教えていました。
ノコギリもうまく使えました。
ノコギリもうまく使えました。
そのあとノコギリ、ゲンノウ(トンカチ)、カンナ掛けなどの実技体験が行なわれました。また実際に道具を使って簡単な写真立ての工作を行ない、参加した12人の生徒は真剣な表情で作品作りに取り組んでいました。本格的な大工道具を使うのは皆んな初めてのようで、講師の指導を受けながら懸命に板を切ったり、削ったりしていました。「建築の仕事は面白いので、将来の職業選択に考えたい」という生徒もいました。