地元暮らしをちょっぴり楽しくするようなオリジナル情報なら、川崎の地域情報サイト「まいぷれ」!
文字サイズ文字を小さくする文字を大きくする

川崎の地域情報サイト「まいぷれ」

かわさきマイスター活動レポート

てくのかわさき技能フエスティバル2011

かわさきマイスター24人、熟練の技を披露

提供:川崎市
川崎市内最大の職人さんのお祭り「てくのかわさき技能フエスティバル2011」が、9月25日(日)10時〜16時、川崎市高津区溝口の「てくのかわさき(川崎市生活文化会館)で開催されました。この催しをよくご存じのリピーターの方をはじめ、数多くの市民が「てくのかわさき」に集まり、活気に満ちたイベントとなりました。なかでも24人のかわさきマイスターが参加した実演や展示は大人気で、たくさんの来場者が足を止め、見事な手さばきや優れた展示品に注目していました。
24人のマイスターの実演や展示は、1階、4階、5階にてそれぞれ行われました。上の階から順番に紹介していきたいと思います。

5階 調理室

小林 誠一さん (調理師)

ローズホテルズ・インターナショナル<br>レストラン内で撮影
ローズホテルズ・インターナショナル
レストラン内で撮影
調理師の小林誠一さんは、旬の食材を手間をかけて日本人好みにアレンジしたフランス料理の巨匠です。調理の全てを管理し、レシピだけでなく独自の味付けを教えるなど、その技術が高く評価され、現在は横浜にあるローズホテルズ・インターナショナルの総料理長を務めています。

横浜の歴代市長が愛食されているという、当ホテルのカレーライスは開業から30年間基本レシピを変えていないという逸品。本日は、この特製ビーフカレーを販売。お昼前には完売してしまうという人気ぶりでした。

小林誠一さんの詳しい紹介ページはこちら

4階 展示室 「かわさきマイスター」コーナー

平成10年度認定 内海 正次さん (寝具技能士)

よい座布団とは、布団とはを丁寧に説明してくださる内海さん。
よい座布団とは、布団とはを丁寧に説明してくださる内海さん。
お客さまの体調にあわせて、寝ごこちのよいふとんをつくる。冨田屋(とんだや)流の技能の持ち主、それがかわさきマイスター・内海正次さんです。体調の悪い箇所は、病状に合わせて、綿を厚くする。手術後の患部などはとくに厚くして、綿を多く入れます。「寝返りを打ちやすくするわけです」。お客様のご希望でどうにでも作れる、それがオーダーメイドのふとんの良さです。「お客様は十人十色だから、ふとんもそれぞれ違って当たり前」と、内海さんは話してくれました。
かいまきや布団のミニチュア
かいまきや布団のミニチュア
冨田屋流の綿の入れ方は、「つばくろ」綿入れといいます。生地を斜めに菱形に置いて、綿の繊維と生地の布目がバイアス(斜め)になるように、折りたたんでいく。そうすると、角に入った綿がもどりにくくなるのです。まん中の綴じも、生地の布目に対して斜め十字にすると、生地が切れにくくなります。座ぶとんのまん中の綴じを持って、座ぶとんが水平に保てるというのは、綿が均等に入っている証拠。この日内海さんは、鶴寿紫座布団、長座布団、ソファ用座布団など、さまざまな座布団を展示即売していました。

内海さんの詳しい紹介ページはこちら

平成10年度認定  都倉 正明さん (フラワー装飾)

色とりどりの花束に来場者も目を惹かれます。
色とりどりの花束に来場者も目を惹かれます。
都倉正明さんは、1998世界らん展フラワーデザイン部門で最優秀賞にも輝いた、フラワー装飾界の「現代の名工」です。お客さんに注文を受けたとき、何に使われるかを最初に聞くそうです。誕生日なのか?お祝いなのか?そして、アレンジにするか?花束にするか?アレンジ(フラワー装飾)の場合、飾る場所はどんなところか?贈る相手がどんな花が好きか?相手の花の好みを確かめておきます。なるべくお客さんの希望に合わせて作っていくそうです。
都倉さんはその場でアレンジメントを制作していました。
都倉さんはその場でアレンジメントを制作していました。
「同じような品種でも、日本産の花はしなやかさが違います」と、都倉さん。日本の風土が育てた花の魅力について語ります。「日本産の花は、大きさも手ごろでしょ」。親子代々花卉生産で培った知識と経験が、フラワーアレンジの発想と技術に生かされています。「花は生き物ですから、新鮮なものほどいいんですよ」。この日用意したのは、ミニバラ、黄色と紫の小菊。小さな花束(200円)、フラワーアレンジ(500円)は被災地に贈るチャリティ販売でしたが、またたく間に売り切れてしまいました。

平成11年度認定 只木 角太郎さん (洋服仕立て(紳士・婦人) )

生地と、オリジナルのマフラーを販売する只木さん。マフラーは1本1本只木さんが手作りされました。
生地と、オリジナルのマフラーを販売する只木さん。マフラーは1本1本只木さんが手作りされました。
只木さんは、オーダーメイドの紳士服・婦人服両方を手がける達人。紳士服・婦人服どちらも扱うのは、全国でも只木さん一人だけ。「私は、紳士服の出なんですよ。婦人服を始めるようになったら、奥が深いので、おもしろくなった」と只木さん。国内外のファッションショーに多くの作品を出展しています。「華やかなショーに出品するのが好きなんですよ。舞台に出したくて、仕方がない。これは私の夢ですね」。今年は、ローマで開催されたファッションショーに出品してきたそうです。
只木さんはまた、オーダーメイドの全ての工程(1.生地選び 2.デザイン 3.採寸 4.型紙作り 5.生地の「地伸し」 6.裁断 7.仮縫い 8.縫製)を一人でこなす職人でもあります。分業化されることも多い工程を一人で行えるのは、卓越した技能があるからこそ。「作っているのが楽しい、縫っているのが楽しいのです」と只木さん。フェスティバルでは、前夜まで手作りで準備したマフラー(各1000円)を展示即売していました。「午前中だけで30本ほど売れたよ」と話してくれました。

只木さんの詳しい紹介ページはこちら

平成13年度認定 関戸 秀美さん (神社寺院銅板屋根工事)

シルバーリングの制作を教える関戸さん。
シルバーリングの制作を教える関戸さん。
迎賓館赤坂離宮、鎌倉鶴岡八幡宮など全国の社寺仏閣、宮殿など、歴史的建造物の修復に携わる、関戸秀美さんは伝統的「鍛金」「彫金」技術の匠です。とくに「宝珠」などを作る「鎚起」の技術を修得し、銅板屋根工事のすべてを芸術的に仕上げます。この鎚起、厚物の絞り、打ち物の技術は日本古来から伝わる技法で、鎧、兜、鐙など、武将たちが使う武具を作るのに用いられてきました。「平板を当て金に当て、金槌でトントンたたきながら絞っていく。そのときできたシワをいかに中に閉じ込めるか?が絞りなんです」と関戸さんは語ります。
関戸さんの作品。
関戸さんの作品。
この技能フェスティバルでは、銀の指輪に鏨(たがね)で細かい模様をつける「彫金」の技術を見せてくれました。花瓢箪や勝虫(かちむし=トンボ)など伝統的な模様を施した銀の指輪は、人気を集めていました。「道具は全部自分で、仕事のたびに、作り直します。だからどんどん増えていきますよ」と関戸さん。例えば鏨も、「定鏨」、「切り鏨」、「毛彫り鏨」、「打ち出し鏨」、「はまぐり鏨」ときりがないそうです。

関戸さんの詳しい紹介ページはこちら

平成14年度認定 小林 伸光さん (和服洗い張り)

伸子張りの実演をしていた小林さん。
伸子張りの実演をしていた小林さん。
小林伸光さんは、古い着物をほどいて洗い、新品同様に生き返らせる「洗い張り」、とくに「伸子張り」の技能を継承する達人です。洗い張りで重要なのは、「水洗い」の工程です。「絹を水で洗うのは何十年に一度の作業。絹を水で洗うところに値打ちがあります。絹も乾ききってしまうと潤いがなくなってきます。水を含ませると絹にツヤが出て生き返るんですね」と小林さん。
昔は各家庭でも行われていた伸子張りも今では見られなくなりました。
昔は各家庭でも行われていた伸子張りも今では見られなくなりました。
水洗いの後、天日干しで「乾燥」します。反物の両端に張り木(はりて)を付け、引っ張ります。反物の裏に、伸子(しんし)を3~4センチ間隔に取り付けます。伸子とは両端に針が付いた約40センチの細い竹棒のこと。これが「伸子張り」です。この後、「糊付け」といって、水に近いくらい薄い糊を引いていきます。生地が1回ゆるんだ後に乾いてつっぱります。結果として、シワがなくなります。「アイロンではできない素晴らしい仕事をしますよ」と語りながら伸子を操る小林さんの手さばきに、多くの人が立ち止まって見入っていました。

小林伸光さんの詳しい紹介はこちら

平成14年度認定 三上 峰緒さん (美容師)

とても細かく、優雅な編み込みがたくさん。
とても細かく、優雅な編み込みがたくさん。
「夢のある編み込み」という独創的なヘアスタイルを生みだし、国内・海外で普及に努めた美容界の先駆者が、三上峰緒さんです。たまたまテレビを見ていて、黒人女性のユニークな編み込みヘアースタイルに刺激を受けたのがきっかけだったそうです。この編み込みスタイルが日本でも流行するのではないかという考えがひらめき、水引や組み紐の技や慶弔の知識を取り入れて考案したのが、独自のヘアースタイル「夢のある編み込み」でした。
テーマは「天高秋馬」
テーマは「天高秋馬」
全国各地で講演会を開き、またカナダEXPO’86協賛イベントに出演したり、中国でヘアショーや講習会を開催するなど、国内外で技術の普及にも積極的に取り組みました。三上さんは美容師界の草分けであり、第一人者として多くの美容師を育ててきたのです。
この日も、三上さんの周りには多くの来場者が集まり、「夢のある編み込み」の解説に耳を傾けていました。

三上さんの詳しい紹介ページはこちら

平成17年度認定 流石 栄基さん (印刷技能士)

印刷について説明する流石さん
印刷について説明する流石さん
写真や絵画を色鮮やかに再現するカラー印刷というのは、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、この4色のかけ合わせが基本です。印刷の段階で、デジタルからアナログへ置き換える作業があります。そこに、人間の感性と技術と経験が、作用してきます。色分解された画像デジタル情報から、限りなくオリジナルに近い色を、アナログで紙の上に再現する、それはまさに職人技の世界。そこが流石栄基さんの仕事なのです。
あらゆる色は4色の網点の集まりなのです。
あらゆる色は4色の網点の集まりなのです。
この日はまず、来場者に携帯式顕微鏡を覗いてもらっていました。顕微鏡の中には、4色の網点が見えます。1インチ四方の中に約175個の網点があり、網点の大小と配列で色を再現しています。「この配合が難しいんですよ。私がこう言うと、みんなびっくりします」と流石さん。印刷の仕組みをまず分かってもらうことが大事だと、流石さんは語ります。写真のハイライト部分、中間、シャドーでも微調整が必要、紙質によってもさらに微調整が必要と、流石さんの仕事は奥が深いのです。

流石さんの詳しい紹介ページはこちら

平成20年度認定 井上 衛さん (造園士)

シュロ縄のしばり方を説明する井上さん。
シュロ縄のしばり方を説明する井上さん。
井上 衛さんは、樹種のせん定、石組、霜よけ作業、環境に配慮した植生配置など、作図から作庭まで、造園業全般の技術を持つ達人です。例えば、「五葉松」という松の木があります。五葉松の手入れは年に2回。5、6月に、新芽が伸びてきたときに新芽の長いものだけを切りそろえる。そして秋、10月以降、中の込んでいるところの芽先をそろえます。新芽と去年の古い葉があるので、新芽は残して、古い葉の長いところを指先でむしって取る。「手間を惜しんだら良いモノはできません」と井上さん。
竹垣を作るのに非常に重要な作業です。
竹垣を作るのに非常に重要な作業です。
この日の会場には、丸竹を隙間なく並べてシュロ縄で結んだ「鉄砲垣」、二つ割りした太めの丸竹を縦に並べた「木賊(とくさ)垣」、竹を縦横に組んだ「四つ目垣」の、それぞれのミニチュアが展示されていました。「シュロ縄のしばり方を体験しよう」というコーナーが設けられ、来場者が挑戦する傍らで、井上さんが優しく指導していました。

井上さんの詳しい紹介ページはこちら

平成21年度認定 久保田 宗孝さん (デザイン彫金士)

ジュエリーについては制作もリフォームも何でも相談できる久保田さん。
ジュエリーについては制作もリフォームも何でも相談できる久保田さん。
久保田宗孝さんは、お客様の要望に応える独創的なデザイン、溶解、地金づくり、組立、仕上げと全工程を1人で行います。通常は、デザインする人と作る人が違うそうですが、久保田さんは、最初のデザインから最後の仕上げまで、全部一人でやる「デザイン彫金士」です。まず最初にデザインを起こして、作品づくりが始まります。「デザインが基本なんですよ」と久保田さん。
本日は天然石も販売していました。
本日は天然石も販売していました。
ジュエリーの工程は、デザイン、溶解、地金づくり、組立、仕上げ、石止め、最後の仕上げと進むが、「僕の場合、すべてが楽しいんですよ」と語る久保田さん。「作業が細かければ細かいほど、複雑であればあるほど、やりがいがあって、心がときめくんですよ」といかにも楽しそうに話してくれました。「全部、自分でやりたい。自分一人でやらないと気がすまない」。この日もお客様の注文を聞きながら、楽しそうに仕事をしていました。

久保田さんの詳しい紹介ページはこちら

平成22年度認定 吉永 惠一さん (クリーニング)

アイロンがけのコツも教えてくれる吉永さん。
アイロンがけのコツも教えてくれる吉永さん。
吉永さんはクリーニング業務全般、特にクリーニングの基本とされるワイシャツの洗浄、アイロンによる手仕上げに卓越した技術を持つ職人です。現在、クリーニングの仕上げはプレス機を使うのが主流になっていますが、吉永さんはそれを手作業で、しかも機会より早くキレイに仕上げることができます。
2005年には全国ワイシャツ仕上げ協議会で優勝するほど。川崎市内で唯一の“日本チャンピオン”という輝かしい称号を持つ、かわさきマイスターです。
アイロンがけのデモンストレーションがこれほど盛り上がるとは。
アイロンがけのデモンストレーションがこれほど盛り上がるとは。
今日はかわさきマイスターコーナーでアイロンがけの実演を、また2階会場でアイロンがけのデモンストレーションのステージを担当されました。来場者の方もアイロンがけのポイントを熱心に聞いていました。

吉永さんの詳しい紹介ページはこちら


(※吉永さんの「吉」は「土に「口」)