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かわさきマイスター活動レポート

マイスター匠展3日目レポート

伝統の技と勘の世界を身近に体験!

提供:川崎市
会場となった川崎氏多摩区総合庁舎
会場となった川崎氏多摩区総合庁舎
今年9月2日(水)から4日(金)まで、神奈川県川崎市登戸にある多摩区総合庁舎1階アトリウムで開催された「かわさきマイスター匠展」。同市が独自の事業として行う、モノづくりに携わる高度で熟練した技を持つ技能者を「かわさきマイスター」として認定、その技能の振興・継承を図るため、さまざまな催しが開かれています。
マイスター紹介パネルの展示コーナー
マイスター紹介パネルの展示コーナー
「かわさきマイスター匠展」も、その一環のイベントです。これまでマイスターとして認定された延べ51名の技能者の紹介パネルとともに、3日間、日替わりでマイスター本人による実演コーナーも併設されました。

4名のかわさきマイスターが実演コーナーに参加しました。

マイスターによる実演コーナー)
マイスターによる実演コーナー)
3日目となる9月4日(水)は、4名のマイスターが実演コーナーに参加。来場者にとって、その技の素晴らしさを身近に触れる貴重な機会になったことは間違いありません。4名のマイスターは、平成13年表彰の関戸秀美さん(神社寺院銅板屋根工事)、同14年表彰の小林伸光さん(和服洗い張り)、同16年表彰の浅水屋甫さん(広告看板製作)、同20年表彰の井上衛さん(造園士)でした。

関戸 秀美さん (神社寺院銅板屋根工事)

スプーンづくりを丁寧に指導・説明する関戸さん
スプーンづくりを丁寧に指導・説明する関戸さん
関戸さんは、銅板屋根工事の分野で熟練した技能を持ち、歴史的価値のある神社寺院改修など数々の大型プロジェクトにも参加した実績もあります。普段、仕事で使う貴重な道具類や関戸さんの手による「擬宝珠(ぎぼし)」と呼ばれる、橋の欄干や寺院の柱で見かける、上方がとがって炎のような形状をした飾りなどの展示も、多くの来場者が興味深く見学されていました。実演コーナーでは、銅と亜鉛の合金である真鍮製のスプーンづくりと、金属を彫ったり、削ったりするのに用いる鏨(やがね)を使って、オリジナルのシルバーリングづくりが開催されました。

小林 伸光さん (和服洗い張り)

伸子張り実演する小林さん
伸子張り実演する小林さん
和服の洗い張りで欠かせない伸子張りで特に優れた技能を持つ小林さん。伸子とは、反物を染めたり、洗ったりする際に使われる竹製の串で、布が縮まないようにするための道具です。かつては、一般の家庭の庭先でもよく見られた、着物洗いの風景でした。この日は、伸子張りの実演にご年配の来場者は懐かしく往時を思い起こされているようでした。同時に、若い世代の人も足を止め、展示された着物と小林さんの手さばきを関心深気に見つめていました。

浅水 屋甫さん (広告看板製作)

手描き表札制作中の浅水屋さん
手描き表札制作中の浅水屋さん
いまでは、デジタル処理されることも多くなった看板ですが、手描きでしか決して出せない独特の味わい深い文字を筆一本で表現し続ける浅水屋さん。その熟練の技は、いくらデジタル技術が進んだとしても、つねに求められるものであることは間違いありません。実演では、手描き表札の制作を披露。完成まで20分程度、しかも格安価格で表札が提供されました。用意した表札板は、時間内にはなくなってしまうほど、多くの来場者からの依頼が殺到していました。

井上 衛さん (造園士)

来場者と四つ目垣の説明をする井上さん(右)
来場者と四つ目垣の説明をする井上さん(右)
現在、エコ意識も高まりを見せる中、自然との共生も図り、高度な芸術性を持つ日本の造園技術は世界的にも、高く評価されています。井上さんの実演では、庭園の竹垣である、鉄砲垣・木賊垣が展示され、植木とその添え木を縛る際のシュロ縄縛りが披露されました。プロの造園士はいとも簡単に縄を縛りますが、それを体得するだけでも長い年月と訓練が必要になるものです。しかし、なかには井上さんから見ても、いわゆる「筋のいい」、「飲み込みのいい」参加者もいて、ときに笑いも起こり、終始楽しそうなコーナーでした。

若林 近男さん (表具士)

来年、裏打ち実演予定の若林さん
来年、裏打ち実演予定の若林さん
また、今年の実演はありませんでしたが、平成13年の表彰者である襖・屏風などの仕立てを行う表具士の若林近男さんも、和紙の手製封筒の販売が行われました。来年は、屏風の裏打ち実演が開催される予定になっています。

展示コーナーは、多磨総合庁舎1階のアトリウム
展示コーナーは、多磨総合庁舎1階のアトリウム
3日目も多くの来場者が訪れました
3日目も多くの来場者が訪れました
展示パネルに足をとめ、見入る来場者の方々
展示パネルに足をとめ、見入る来場者の方々
実演・指導にも熱が入ります
実演・指導にも熱が入ります

この「かわさきマイスター匠展」は、来年も9月の第1週、同じく多摩区総合庁舎で毎年恒例のイベントとして開催される予定です。ぜひ一度、足を運ばれて、マイスターの技をじかに見学されてみてはいかがでしょう。