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かわさきマイスター活動レポート

かわさき市民祭りレポート

提供:川崎市

ものづくりの街・川崎に生きる、匠の技と勘の世界を実体験!

会場の1つ、川崎球場第1駐車場前
会場の1つ、川崎球場第1駐車場前
毎年、秋の恒例となった「かわさき市民祭り」が今年も、10月30日(金)から11月1日(日)まで、神奈川県川崎市川崎区の富士見公園一帯で開催されました。今回で、同祭も32回目を数えます。参加者数も延べ50万人を超える、ビッグイベントとして広く定着している感もあります。晴天にも恵まれた今年の参加者は、3日間で55万人でした。パレード・地域名産品の出店ブース・ライブステージなどが。広域なエリア内で盛大に催されました。
第32回かわさき市民祭りの来場者は、3日間で計55万人
第32回かわさき市民祭りの来場者は、3日間で計55万人
同祭会場の1つとなった、川崎球場第一駐車場の入り口付近では、「かわさきマイスター」による、実演・製品展示ブースが設けられ、参加者も足を止め、熱心にその手から織り成される実演による技の極みや、製作され展示された製品に感じ入っていました。「かわさきマイスター」は、いまから13年前、平成9(1997)年からスタートしている、川崎市の事業です。ものづくりに携わる高度な熟練技能者を、毎年数名、厳正・公平な基準で認定・表彰し、技能・技術の振興・継承を図っていこうとするものです。昨年(2008年)までに、すでに52名の各界で優れた実績を持つ技能者が「かわさきマイスター」として認定されています。

第32回かわさき市民祭り・初日レポート

かわさきマイスターの実演ブースにもたくさんの来場者が
かわさきマイスターの実演ブースにもたくさんの来場者が
「かわさき市民祭り」でも3日間、日替わりでマイスターによる、ブースでの実演および、製品・作品の展示が行われました。初日となった10月30日(金)は、5名のマイスターが参加されました。
参加されたマイスターは
・只木角太郎さん(洋服仕立て紳士・婦人 平成11年認定)
・関戸秀美さん(神社寺院銅板屋根工事 同13年認定)
・若林近男さん(表具師 同13年認定)
・浅水屋甫さん(広告看板製作 同16年認定)
・飯嶋義弘さん(時計修理工 同19年認定)
です。
また、作品・製品展示ブースには、3日間にわたって、大橋明夫さん(プレス順送金型設計製作 同11年認定)、平賀正明さん(生産システム<加工・組立>の設計・製作 同20年認定)の手がけたハイテク製品の各種サンプルの展示も行われました。

只木角太郎さん(洋服仕立て紳士・婦人)

製品・サービスともに本物の提供にこだわる只木さん
製品・サービスともに本物の提供にこだわる只木さん
紳士・婦人、用の別を問わず、既製の服とは、着心地はもちろん、丈夫さや質感、肌触りなど、すべてにおいて、際立ったよさを発揮するのがオーダーメイド製品。只木さんはそのオーダーメイドの洋服仕立ての分野で、型紙や裁縫の熟練した技術を発揮しているマイスターです。いまでも時間を見つけては、ヨーロッパ各地にも足を運び、先端のファッショントレンドを精力的に勉強し、技術のみならず感性の研鑽に励んでいます。
この日は、ご自身のあつらえによるショーに出展したウエアーの展示が行われ、同時に来場いただいたお客様には、生地の提案から採寸・型紙制作まで、長年培った技能をもとに、洋服仕立ての真心のこもった最高級のサービスでもてなされていました。

関戸秀美さん(神社寺院銅板屋根工事)

来場者への指導にも熱のこもる関戸さん
来場者への指導にも熱のこもる関戸さん
神社寺院銅板屋根工事の分野で活躍する関戸さんは特に宮殿,寺院などの回り縁(高欄)の飾りである「宝珠」などを作る槌起の技能に卓越しています。槌起とは、金属板を鎚(つち)で打ち延ばして行う金属工芸の技術の一つです。関戸さんは歴史的な価値のある神社・仏閣の修復など大型プロジェクトにも、数多く参画した事績を持ち、有名なところでは、鶴岡八幡宮(鎌倉)、赤坂離宮などの修復工事にも、携わってきました。
この日は、関戸さんが普段の仕事で使っている、金属を切ったり削ったりするための鏨(タガネ)と呼ばれる道具を用いて、オリジナルのシルバーリング・根付づくりの実演指導が催されました。来場した方々も、金属を道具で叩いて加工する作業に、集中力を高めながら、真剣に取り組んでいました。

若林近男さん(表具師)

和紙封筒の展示販売をする若林さん(右)と手書表札の実演製作をする浅水屋さん(左)
和紙封筒の展示販売をする若林さん(右)と手書表札の実演製作をする浅水屋さん(左)
和室になくてはならない、屏風・掛け軸などを修復する業務は、表具師として特に熟練した技能が求められます。表具とは、掛け軸、屏風、ふすまなどに紙や布を糊で貼りつけること。若林さんは、その分野で十分に力を発揮できる表具師です。描かれている絵の世界を、鮮やかに蘇らせていくため、材質にもこだわりながら生地を慎重に選択し、糊貼りにも細心の注意を払いながら作業をすることで、見事なまでに、絵に再び、生命が吹き込まれていきます。
実演では、普段表具の仕事で若林さんが使う最高級の和紙で、大小の封筒、お正月などに重宝するポチ袋を製作、その販売が格安価格で行われました。マイスターとして参加されるイベントではこの和封筒の販売はすっかりお馴染みになり、毎回好評を博しています。本日の収益は川崎市に寄付されました。

浅水屋甫さん(広告看板製作)

浅水屋さんによる手書表札製作実演の模様
浅水屋さんによる手書表札製作実演の模様
普段、私たちが街中などで見かける商店の店名や広告用の看板の文字は、現在ではデジタル処理されて製作されることが多くなってきています。しかし、手書きで描かれた文字は、やはり独特の味わいを持っているものです。浅水屋さんは、手書きであらゆる文字や絵を描いていく、看板制作の熟練者です。これまでにも渓谷に架かった鉄道の鉄橋、石油コンビナートにある大きな円形の貯蓄タンクなど、特殊な場所にも文字を描いてきた実績を持っています。
イベント初日は、家庭用の表札を手書き実演されました。下書きなどはせず、お客さんの名前を確認したらすぐに書き始めます。ためらいのないその筆の走りは実に見事です。今回は1500円の格安での提供とあって、多くの人が足を止め、その匠の技を熱心に見入っていました。

飯嶋義弘さん(時計技能士)

時計の専用測定器の説明をする飯島さん(3日目)
時計の専用測定器の説明をする飯島さん(3日目)
精巧なクオーツをはじめ、様々なアナログ式時計の修理において、微細な部品の制作・洗浄なども含めて、熟練した技能で対応できるのが、飯嶋さんです。時計が正確に 時を刻むには、油の差し具合、1つひとつの部品のきめ細かな手入れがあって、はじめて実現されていくものなのです。飯嶋さんは、これまで世界中のメーカーの時計の修理を行ってきました。もちろん、メーカーごとに部品・構造は違いますが、その構造を解明し、工夫をしていくことにやりがいを感じているそうです。修理に必要な部品がない場合は自分で作ることもあるそうです。
当日は、時計の示す時間がどれくらい正確なのかを計測するためのスイス製の専用機材を持参し、来場した皆様の 時計の時間のズレを測り、日ごろの手入れ方法などについてアドバイスされていました。