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かわさきマイスター活動レポート

第33回川崎市民祭り「かわさきマイスター」取材レポ

平日にも関わらず大盛況の会場

提供:川崎市
行ってきました!10月29日、川崎市の富士見公園一帯で開催された第33回川崎市民祭りの会場内にある「かわさき情報発信コーナー」での実演と展示を披露した7人のマイスターの取材をさせていただきました。
冬のような曇り空の中、午前10時に、川崎市消防隊の吹奏楽団の演奏とカラーガード隊の息の合ったリズム感溢れるパフォーマンスに続き、阿部孝夫川崎市長らの開会の挨拶や来賓の紹介。そして、次々と登場する川崎市の可愛いマスコットたちに来場者は、寒さも忘れ大きな笑顔と拍手を送っていました。いよいよ市民祭りのスタートです。
カラーガード隊による華やかなパフォーマンス
カラーガード隊による華やかなパフォーマンス
開会式は、川崎市消防音楽隊の演奏で始まりました。
開会式は、川崎市消防音楽隊の演奏で始まりました。
私は、お目当てのかわさきマイスターの出展しているブースに向かいます。前日からマイスターに初めて会えるのをとても心待ちにしていました。朝早くから出展の準備を終えたマイスターとの出会いがいよいよ始まります。
お祭りの初日、参加した7人のマイスターを取材しました。

三上 峰緒さん (美容師)

芸術家、三上さんの作品。全てに四字熟語の題がつけられています。左端の題は、「鳳凰子飛(ほうおうここに飛ぶ)」。大変おめでたいものです。
芸術家、三上さんの作品。全てに四字熟語の題がつけられています。左端の題は、「鳳凰子飛(ほうおうここに飛ぶ)」。大変おめでたいものです。
最初に、芸術的な編み込みが目を引くマイスター、美容師、三上峰緒さんです。平成14年にマイスターに認定された三上さんは美容師界の草分けの方で、中国の兵馬俑の兵士や黒人の間で一般的な髪型であった編み込みに刺激され、古代中国古来の礼法に基づき、編み込んだ髪に水引や組紐を組み合わせて考案した『夢のある編み込み』で、芸術の域にまで高めました。作品には、全て四字熟語の題が付けられ、創造的なものばかりです。そのインスピレーションの凄さに驚きました。
若い来場者に3つ編みの実演を施す三上峰緒さん。
若い来場者に3つ編みの実演を施す三上峰緒さん。
三上さんは、「ものごとには、全て基本があります。それに基づいて長年作品を作ってきましたが、一年に1つしか作れません。とても手が込んだものですが、できるだけ多くの人に知ってもらいです」と。来場者、特に若いお洒落な女性から感嘆の声が上がり、三上さんは1人の女性に美しい編み込みの実演をしてあげていました(写真参照)。ロングヘアの私には、編み込んだ髪を右側に置き、左側の襟にブローチを着けるといいわよとのアドバイスをくれました。皆さんも試してみては?

小林 伸光さん (和服洗い張り)

和服の布の裏側に伸子張りの実演をする小林伸光さん。そのスピードと正確さに目を見張ってしまいました。
和服の布の裏側に伸子張りの実演をする小林伸光さん。そのスピードと正確さに目を見張ってしまいました。
次に、和服洗い張りの小林伸光さんです。現在、港屋京染店を経営し、創業時から3代目の和服洗い張りのマイスターです。会場では、和服の手入れの基本、洗い張りの、解き→端縫い→水洗い→乾燥→湯のし(伸子張り)→仕上げ→作業完了の工程の中の「伸子張り」がなされた紬(つむぎ)と名仙(めいせん)が展示されました。その優雅な風情にうっとりです。
実演後、伸子張りされた裏側を表にして見せてくれました。
実演後、伸子張りされた裏側を表にして見せてくれました。
「伸子張り」とは、両端が針のようにとがった40センチほどの細い竹棒(伸子)を、洗った生地の横両端に刺し、その張りで布を伸ばすことです。目の前であっという間に布に伸子を刺していく小林さんの見事な手さばきに驚きました。「伸子張りの後は、しわを伸ばし、慎重に仕上げに持っていきます。和服は三代着られる文化です。振袖や、上等な大島紬などのお手入れは、是非当店へ相談ください。職人として、同じことを続けるやめない努力、長年の積み重ねが大事だと思います」と、小林さんから謙虚な言葉を頂きました。

★小林さんの詳しい紹介はコチラ

久保田 宗孝さん (デザイン彫金士)

18金の指輪を真剣に研磨しています。
18金の指輪を真剣に研磨しています。
昨年マイスター認定を受けたデザイン彫金士 久保田宗孝さん ジュエリーに関するものなら何でも相談を受け、デザイン・金・銀・プラチナ溶解分析・地金作成・組立てまで、全工程を1人で行います。顧客の難しい要望にも対応し、世界に1つだけのデザインを作るマイスターです。会場では、種々の宝石がリーズナブルな価格で売られ、18金の指輪の加工などの丁寧な実演を見せてくれました。
お客様と談笑する久保田宗孝さん。 
お客様と談笑する久保田宗孝さん。 
「普段の作業では、最後の仕上げが一番神経を使います。お客様に最高のオリジナルな一品を届けたいからです。今回の展示実演で、自分の仕事を多くの人に知ってもらいたいです。とにかく仕事をしている時が一番楽しいですね。私の元気の源ですよ」とのお話。来場者の一人の方が、身に付けていた腕時計を見せてくれましたが、文字盤の上の枠が美しい宝石でちりばめられていました。聞くと、もともとの枠を取り外し、久保田さんがお手製の枠を取り付けたそうです(写真が無くてごめんなさい)。技術向上を常に求め、こつこつと仕事に打ち込む久保田さんに本物の職人気質を見せてもらいました。

★久保田さんの詳しい紹介はコチラ

只木 角太郎さん (洋服仕立て紳士・婦人)

只木角太郎さんと展示品の内掛け。和と洋のデザインがミックスされた非常に珍しいものです。
只木角太郎さんと展示品の内掛け。和と洋のデザインがミックスされた非常に珍しいものです。
1人1人の体型に合ったオーダーメイドの洋服作りを長年手がけ、日本代表として世界のファッションショーに出展し、同業者の新分野進出や技術向上に貢献してきたマイスター。デザインから、仮縫い、パターン作り、縫製の全工程を手がけ、日本でも紳士服と婦人服の両方を仕立てることができるのは只木さん1人だけです。会場には、和洋折衷の内掛けと紳士用の背広が展示され、只木さん選りすぐりの手触りの良い上品な布地もリーズナブルな料金で売られていました。
只木さんのファンと言う男性が只木さんのブースを訪れました。
只木さんのファンと言う男性が只木さんのブースを訪れました。
「オーダーメイドの良さは、既製品にはない着心地と着安さがあり、いつまでもあきがきません。お客様の好みに合った一番似合う上質なものを作るよう心がけています。川崎市長さんのスーツも作りましたよ。これからも同業者の中にどんどん入り吸収していきたい。」と意気込みを話してくれました。来場者の一人で只木さんのファンという男性が「只木さんが作ってくれたシルクのシャツを着てきました。個性的で上品で、自分だけのものでとても気に入っています。」と話してくれました。

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浅水屋 甫(はじめ)さん (広告看板製作)

来場者の注文を受け、早速製作に取り掛かる浅水屋 甫(はじめ)さん。
来場者の注文を受け、早速製作に取り掛かる浅水屋 甫(はじめ)さん。
この道50年以上のベテランの手書き看板業者の浅水屋さん。文字はワープロ、活字もパソコンが当たり前のご時勢の中、筆1本で注文に応じ、あらゆる字体を描いていく技は正に「匠」の技で、字体も非常にデザイン性に優れたものです。会場で高橋さんという女性から表札の注文を受け、浅水屋さんは、早速、すが材の表札に文字を書き込んでいきます。長年の感と技術で、丁寧に書き込んでいく浅水屋さんの手元と文字(楷書)に思わず見入ってしまいました。20分ほどで、繊細で美しい名前が書かれた表札が出来上がりました。
浅水屋さんの表札。調和のとれた美しい字体です。
浅水屋さんの表札。調和のとれた美しい字体です。
浅水屋さんは、表札以外にも、小さな看板から石油タンクの壁面画、垂れ幕など、高所、難所を問わず、体1つで文字を書きます。「この道60年になるけど、好きでないとできないよね。コンクールで国土交通大臣賞をもらったこともあるけど、今では、関東一都六県、いろんな学校に呼ばれ、子供たちに字の書き方を教えていますよ。いつも自然体で仕事をこなしています。」その姿勢が、美しい字体にも表れるのですね。字は体を表す、まさにその通りですね。

★浅水屋さんの詳しい紹介はコチラ