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かわさきマイスター活動レポート

川崎市住まいのなんでも相談室

5人のマイスターが技能をアピールしながら住まいの無料相談を

提供:川崎市
11月28日(日)に川崎地下街アゼリアのサンライト広場で催された「川崎市住まいのなんでも相談室 家づくり&かわさきマイスター展」は、市内の工務店やかわさきマイスターによる住まいづくりの展示や実演販売を行うとともに、専門家による無料住宅相談会でリフォームや耐震工事などの相談を受け付けるというもの。この催しに、金属ヘラ絞りの鍵屋清作さん、建築板金の中村量貢さん、寝具技能士の内海正次さん、表具師の若林近男さん、広告看板製作の浅水屋甫さんの5人のかわさきマイスターが出展し、午前10時半から午後6時までの長時間にわたって、市内最高峰の技能をアピールしながらさまざまな無料相談に応じました。

 

内海正次さん(寝具技能士)

ミニチュアのかいまきや販売用の座布団に「かわいいわね」とたくさんの人が足を止めました
ミニチュアのかいまきや販売用の座布団に「かわいいわね」とたくさんの人が足を止めました
冨田屋(とんだや)流の技能を持ち寝具製造歴60年の内海正次さんは、座布団などの販売を行いながら相談に応じました。
おなじみのミニチュア掻い巻きも展示され、ブースを覗き込む人の目を引きましたが、掻い巻きを知っている人はあまりいないようで、「この半分くらいのは見たことあるけど(はんてんのこと?)、これは初めて」とか「かわいい、これ、なんですか?」とたずねる人も。小僧としてお店に入ってから作れるようになるには10年はかかるといわれている掻い巻き、綿を入れた本来のものを手づくりで作るとなると熟練した高度な技術が必要とされ、内海さんもその一人ですが、ミニチュアもまったく実物と同じ技術で作られています。このミニチュア、茅ヶ崎から川崎に買いものに来たという主婦が「玄関に飾るので、ぜひ」ということで、催しの終了前に茅ヶ崎にお嫁入り。

うわがけの額縁についても根気よく説明
うわがけの額縁についても根気よく説明
終了までにたくさんの相談に応じた内海さんでしたが、中でも専門的内容になったのが、布団のうわがけの額縁についての相談。「以前、近所のおばさんに教わったことがあるけど、あやふやだったので専門家にたずねようと思って」という市内の主婦の相談に、「縫いしろも入れて掛け布団の場合は幅150センチ、長さが200センチですが、縫いしろ部分を2,3センチ出すようにして・・・」と根気よく説明していました。

内海さんの紹介ページはこちら


中村量貢さん(建築板金)

中村さんの筋彫りの美しさに多くの人が足をとめ、作品に見入っていました
中村さんの筋彫りの美しさに多くの人が足をとめ、作品に見入っていました
1級建築板金技能士の中村量貢さんは銅板への「筋彫り」の技を披露しました。中村さんは規格外の板金設備部品を勘とひらめきで頭の中で設計図を描き、ピッタリとその場に納まるように仕上げる熟練の技の持ち主ですが、趣味の工芸品としても人気のある筋彫りを実演することで、板金の基本技術として継承されている技を知ってもらおうというものです。
筋彫りは薄い銅板に下絵を張り付けて上からボールペンでなぞっていきます。銅板に残った筋跡にそって油性のマジックなどで描き、銅板の表面に硫黄で黒色をつけていきますが、あまり黒くすると表面がはがれてしまうそうです。
中村さんの展示机の上には1級建築板金技能士の検定の課題作品も展示されていましたが、課題作品には12か所の検定箇所があり、すべてクリア―しないと合格しません。課題作品を見ただけでも1級建築板金技能士の技のすごさが知れようというものです。

銅板の上に下絵をボールペンでなぞり、銅板に筋をつけていきます
銅板の上に下絵をボールペンでなぞり、銅板に筋をつけていきます
1級建築板金技能士の検定の課題作品。検定箇所が12個所もあります
1級建築板金技能士の検定の課題作品。検定箇所が12個所もあります
紙の上から下絵をなぞると銅板に筋がつきます
紙の上から下絵をなぞると銅板に筋がつきます
中村さんの技がみごとに表れた作品
中村さんの技がみごとに表れた作品

鍵屋清作さん(金属ヘラ絞り)

円形状の金属盤を回転させながらヘラ棒で押さえて丸い立方体を作るヘラ絞りの技術。鍵屋清作さんはロケットの先端部分を作ったこともあるほどこの技の熟練工です。当日はその技術で作ったお皿と大、中、小のビールジョッキを出血大サービスで販売しながら、相談に応じました。
さかんにヘラ絞りについてあれやこれや質問していたのは、福島県からきたという80歳のおじいさん。骨董品に興味があるということですが、鍵屋さんの作品の美しさにほれ込んでしまったようで、今度、工場にへら絞りの実演を見に行くという約束が成立。鍵屋さんも「うれしいねえ、感動的だねえ」と大よろこび。
変わり種の質問は鍵屋さんの名字について。鍵谷と「谷」のほうの名字はよく見かけるそうですが、「屋」は初めて見たという人が「屋号ですか?」と聞いていました。屋のつく名字は鍵屋さんのご出身の秋田県でも3軒しかないそうで、鍵屋さんの奥さまも「よく錠前屋さんと間違えられるのよね」と苦笑いしていました。

鍵屋さんの紹介ページはこちら
へら絞りで作ったお皿とビールカップを出血大サービス販売の鍵屋さん(中央)<br>
へら絞りで作ったお皿とビールカップを出血大サービス販売の鍵屋さん(中央)
お皿もビールジョッキもイベント向けの小物とはいえ鍵屋さんの高度な技が反映されたすばらしいものです
お皿もビールジョッキもイベント向けの小物とはいえ鍵屋さんの高度な技が反映されたすばらしいものです

浅水屋甫さん(広告看板製作)

広告看板製作の浅水屋甫さんは手書き表札の実演販売を行いましたが、住まいには表札がつきものということもあって、さまざまな相談を受けていました。
一番多かったのが、「表札の文字には決まったものがあるのですか?」といった書体についての相談。浅水屋さんによると「一般的に使われるものは楷書体や江戸文字など6,7種類ですが、好みでいいんですよ」とのこと。ちなみに浅水屋さんは頼まれればどんな書体もOKです。
浅水屋さんが表札に手書き文字を書いて行く様子をじっと見ていた中年の男性は、「木の表札は文字が書かれたばかりのものより、何年も雨風にさらされたものの方が風合があっていいんですよ。木の表面がくすんできて、逆に文字がうきあがってくるんです。散歩途中にたまにそういう表札を見かけることがありますが、金属やプラスティックなどにはない味わいがありますね」と浅水屋さんの文字に深く感動したようでした。

浅水屋さんの紹介ページはこちら
広告看板製作の浅水屋甫さんは手書き表札の実演販売を
広告看板製作の浅水屋甫さんは手書き表札の実演販売を
生まれた赤ちゃんの時間と体重を。ひな祭りに雛段に飾るそうです
生まれた赤ちゃんの時間と体重を。ひな祭りに雛段に飾るそうです

若林近男さん(表具師)

古い表具から現代のクロス貼りまで緻密な仕事をこなす表具師の若林近男さんは、ふすまや障子など内装施工の相談を受け付けました。
この日は「ほんの一部ですけど参考になればと思ってね」とふすま紙や障子紙の見本や、屏風のミニチュアなどを持参して熱心に説明していました。
特に屏風のミニチュアの前には年配の男性が多くつめかけ、「屏風はこの部分がいかれたらおしまい」といった説明に耳を傾けていました。
また、これまでもイベントでファンもついている和紙で作られた手づくりの封筒の販売も行いましたが、この日もそれ目的できたという人もけっこうの数で、その中の一人は「お年玉用として買いました。上品で手づくり感がよく出ているので、ちょっとした絵を描いて子どもたちにあげればよろこぶんじゃあないかと思いますよ」とうれしそうに言っていました。

若林さんの紹介ページはこちら
ふすまの見本。「ほんの一部ですが、参考になればと思って」と若林さん
ふすまの見本。「ほんの一部ですが、参考になればと思って」と若林さん
ミニチュアの屏風の前には年配の男性が多く足をとめ、説明に耳を傾けていました
ミニチュアの屏風の前には年配の男性が多く足をとめ、説明に耳を傾けていました
これまでもイベントで販売してきた和紙の手づくり封筒には固定ファンも
これまでもイベントで販売してきた和紙の手づくり封筒には固定ファンも
この催しは住まいについての相談を目的として行われましたが、市が誇る最高峰の技術をもった5人のかわさきマイスターのアドバイスは同イベントの趣旨におおいに貢献できたことと思われます。7時間半という長時間、ひきもきらない来場者のお相手をしたマイスターのみなさん、ほんとうにお疲れさまでした。