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かわさきマイスター活動レポート

「第11回 多摩ふれあいまつり」 

~バリアフリー わたしとあなたとこの街と~

提供:川崎市

栗田佐穂子さん(洋裁・介護服)、「ユニバーサルファッションショー」を開催

会場前の通りにはグリーンの旗が並ぶ
会場前の通りにはグリーンの旗が並ぶ
平成23年6月19日(日)10時~15時、川崎市多摩区総合庁舎(多摩市民館)で、「第11回 多摩ふれあいまつり」が行われました。この多摩ふれあいまつりは、「バリアフリー わたしとあなたとこの街と」をテーマに、障害のある方やボランティアの団体・グループが、ふだん地域で行っている様子を紹介し、バリアフリーのまちづくりに対する理解と啓発をめざして開催されるものです。
にぎわう多摩区総合庁舎1Fアトリウム
にぎわう多摩区総合庁舎1Fアトリウム
会場となった川崎市多摩区総合庁舎(多摩市民館)には、川崎市内のボランティア団体・グループを中心に、数多くの市民が集まり、盛りだくさんの企画を楽しみながら、笑顔と活気があふれる、賑やかなおまつりとなりました。

この多摩ふれあいまつりに、「かわさきマイスター」平成14年度認定の栗田佐穂子さん(洋裁・介護服)が出展し、「着やすくリメイクする」実演や講習を行い、ユニバーサルファッションショーを開催しました。

栗田 佐穂子(くりたさほこ)さん

先祖代々、登戸に暮らす。女子大学・家政学部に学びながら、夜間は目黒のドレスメーカー学院でも実技を学んだ。卒業後すぐに登戸ドレスメーカー学院にて1クラスを受け持ち、教える立場に。質問されながら覚えたことも多かったという。2008年11月にアソシエCHACOをオープン、レンタルボックスを提供するとともに、自身のユニバーサルデザインの服を展示・販売している。
川崎市多摩区在住。登戸ドレスメーカー学院副校長・アソシエCHACO代表。平成14年度認定かわさきマイスター。
★栗田先生の詳しい紹介ページはこちら
【連絡先】
登戸ドレスメーカー学院 アソシエCHACO

■住所:    川崎市多摩区登戸2130-2 アトラスタワー向ヶ丘遊園2F
■電話/FAX: 044-900-8844 / 044-900-8845
■営業時間: 10:00~20:00
■定休日:  日曜・祝日休み
■HP:   http://www.a-chaco.com

東日本大震災の被災地に「手作り介護グッズ」を

自分で作った作品を試着して、にっこり
自分で作った作品を試着して、にっこり
多摩区総合庁舎3階の視聴覚室が、栗田さんが主催するボランティアグループ「糸の詩」の会場となりました。高齢者・障害者・療養中の方にとって着やすくおしゃれな服が展示された会場内で、午前10時、傘の布地で作る「手作り介護グッズ」講座がスタート。
古くなって不要となった傘や、壊れた傘を再利用して、食事エプロン&ケープを作ろうというもので、傘のホネから布を外し、中心に直径6~10センチの穴を切り開け、裁ち目をバイヤステープで包んで縫う、という手順で作ります。多くの参加者が、ミシンを使って、または手縫いで、挑戦しました。
食事エプロン&ケープ、力作のできあがり
食事エプロン&ケープ、力作のできあがり
栗田さんは「登戸小学校では傘から布を外し、枡形中学で縫っていく。高校生、大学生、シニアの方も加わって、介護グッズをつくっていこう。それを被災地の中で本当に必要としている所を探して、確認し、確実にお届けしよう、という取り組みも始まっているんですよ」と解説しました。
メイクの指導をした中島由佳理さん(左)
メイクの指導をした中島由佳理さん(左)
午前11時40分からは、「まゆの整え方で美人顔に」という講演と実演がメイクアーティスト・中島由佳理さん指導で行われ、さらにその後、「ユニバーサルファッション開発秘話」が栗田さんご自身のエピソードを交え紹介されました。

元気が出る! 「ユニバーサルファッションショー」

午後2時10分、同じ多摩区総合庁舎3階の大会議室で、「ユニバーサルファッションショー」が始まりました。ユニバーサルファッションについて、栗田さんはこう解説します。
「着やすくて、便利で、かっこいい、しかもそれを着たことで、元気が出ます」
高齢者、病気療養中の方、体に不自由をお持ちの方、車椅子を利用されている方にとっても、着やすくて、自分らしさを表現できる、おしゃれを楽しめる服をユニバーサルファッションと呼んでいるそうです。
オープニングに登場の「ピュアドロップス」
オープニングに登場の「ピュアドロップス」
4月に入学したばかりの新入生たちも登場
4月に入学したばかりの新入生たちも登場
オープニングパフォーマンスは「ピュアドロップス」というグループの歌と踊り。躍動感あふれる彼らのパフォーマンスで、会場の雰囲気は一変しました。続いて登戸ドレスメーカー学院新入生たちが、自ら作った服を着て、モデルとして登場しました。若々しい、そして初々しい彼女たちが会場を盛り上げます。

リメイクしたら、こんなに変わる!

良いものは長く大切に着たい、素材を生かしてリメイクし、新しく生かす作品の数々がステージに登場します。
「背中のファスナーをしめるのが大変になって、クローゼットの隅にしまいこんでいたワンピースを、前あきにしてファスナーをつけるだけで、また着られるようになった。これもユニバーサルファッションです」と、栗田さんは解説しました。
きものリメイクのカシュクールブラウス(手前)と、シルクのフォーマルドレス(後方)
きものリメイクのカシュクールブラウス(手前)と、シルクのフォーマルドレス(後方)
夏用の紗のきものをリメイクしたアンサンブル。ジャケットはきものの衿肩明の切り込みを生かしています
夏用の紗のきものをリメイクしたアンサンブル。ジャケットはきものの衿肩明の切り込みを生かしています
着やすいアンサンブル。前にコンシールのオープンファスナーを付けて、着脱を楽に
着やすいアンサンブル。前にコンシールのオープンファスナーを付けて、着脱を楽に
傘を再利用したケープ。着やすさはもちろんのこと。防水性に優れ、雨の日に重宝します
傘を再利用したケープ。着やすさはもちろんのこと。防水性に優れ、雨の日に重宝します
男女兼用の作務衣。前合わせは大きめのボタンとゴムループで止め、着脱が楽になった。
男女兼用の作務衣。前合わせは大きめのボタンとゴムループで止め、着脱が楽になった。
すっかり着なくなった自分の服をちょっと直すだけで、着やすくなるリメイクの実例。「捨てられなくてとっておいた母や祖母の着物を、思い切ってリメイクしました」というケースも多いようです。古い着物が見事に現代風に変身する様は、まさに驚き。日本の着物の底力を感じます。

ユニバーサルファッション、3つの実例

マグネットなので、かんたんに止められます
マグネットなので、かんたんに止められます
栗田さんがステージの上に市民モデル3人を招きました。「新聞を見て応募してくださった方です」と、一人の女性を紹介します。「この女性が着ている服には、関節が動きにくい方のために開発したマグネット式のボタンが付いています。マグネットですから、パチパチとあっというまにとめられます。国立相模原病院のリウマチの研究会でご意見を聞きながら、商品開発してきたものです」。他にも、袖やスカートの工夫を紹介しました。
また車椅子の男性モデルの上着や膝掛け、ビジネスマン風の男性が身に付けたネクタイについても、具体的に説明しました。
川崎市の敬老の日のお祝いに採用された作品
川崎市の敬老の日のお祝いに採用された作品
片手でヒモをひっぱり着けられるネクタイ
片手でヒモをひっぱり着けられるネクタイ

車椅子用レインコートでお出かけ

車のライトが当たると光る介レインコート
車のライトが当たると光る介レインコート
6月ということもあって、レインコートの紹介です。一つ目は、帽子、ケープがセットになったワンピース型レインコート。足下をすっぽりおおうことができ、風が強い日でもめくられることがありません。雨がちょっと強くなっても、ケープをはおると、雨のしずくがポロポロと下へ流れ落ちるようになり、車椅子のところに水が入り込むことを防いでくれます。他にも、車椅子ごとすっぽりおおうタイプのものや、登山用の黄色のレインコートをリメイクしたもの、ひざ掛け部分がベルトでワンタッチでとめられるものなど、さまざまです。夜、車のライトが当たると反射して光る特殊な布を使用した、介護の人のためのコートの紹介もありました。
ケープとワンピースがセットになった
ケープとワンピースがセットになった
車椅子ごとすっぽりおおうタイプ
車椅子ごとすっぽりおおうタイプ
既成の登山用レインコートを車椅子対応に
既成の登山用レインコートを車椅子対応に
足下まですっぽりおおってくれる
足下まですっぽりおおってくれる

黒留袖をリメイクしたフォーマルドレス

数々のきものリメイク作品のなかでも圧巻は、この黒留袖リメイクのフォーマルドレスでした。「着物を着るのはちょっと気が重い、そんなときにこの留袖リフォームドレスはいかがでしょう」というアナウンスで紹介された、上品な年配のご婦人に、場内から拍手が沸き起こりました。留袖の絵柄部分を活かした上着は、体型をカバーする役割もあるそうで、よりスマートに見せてくれています。
「留袖の格調はそのままとどめていますので、華やかな席にもぜひ着ていただきたい一着です」というアナウンスにも、ただうなずくばかり。金をふんだんに使った絢爛豪華な留袖模様は、見事にフォーマルドレスに生まれ変わりました。
フォーマルなネクタイも、片手でヒモを左右にひっぱりながらかんたんに着けらます
フォーマルなネクタイも、片手でヒモを左右にひっぱりながらかんたんに着けらます
黒留袖をリメイクしたフォーマルドレス。格調はそのままに、より華やかに着こなせます
黒留袖をリメイクしたフォーマルドレス。格調はそのままに、より華やかに着こなせます

フィナーレを飾った、結婚10周年の高橋ご夫妻

結婚10周年を迎えた高橋さんご夫妻
結婚10周年を迎えた高橋さんご夫妻
トリを務めたのは、10年前に多摩市民館大ホールで開催したユニバーサルファッションショーの中で本当の結婚式を挙げた、高橋秀彦さん、純子さんご夫妻。「10年ぶりにここ多摩市民館に帰ってこられました」というアナウンスと共に登場です。
「10年経ったんです!」と紹介する、栗田さんの声が震えています。歓声、拍手、カメラのフラッシュ、あらゆるものが一斉にはじけました。「おめでとうございます!」
「もし体が不自由だから結婚はあきらめているという方がいらっしゃったら、そんなことはありません。こうして高橋さんご夫妻は幸せに10周年を迎えることができたんです」と栗田さんは続けます。最後に待っていたのは、感動的なフィナーレでした。
前列左から、高橋秀彦さん、純子さん、栗田佐穂子さん
前列左から、高橋秀彦さん、純子さん、栗田佐穂子さん
関係者全員そろって記念撮影
関係者全員そろって記念撮影

「楽屋裏」がいちばん楽しんでました

こうして、「ユニバーサルファッションショー」は感動の幕切れとなりましたが、ショーの始まる前に撮影したスナップ写真も一部ご紹介しておきましょう。ショーの中では紹介しきれなかった作品も再確認していただけます。
自分でつくって自分で出演した皆さんの楽しそうな表情が何より印象的でした。「心と体にやさしく、元気が出る服」、まさにユニバーサルファッションはここにありました。
男ものの麻の浴衣をリメイクしたブラウスとパンツ。赤の帽子とタイツをコーディネート
男ものの麻の浴衣をリメイクしたブラウスとパンツ。赤の帽子とタイツをコーディネート
羽織をリメイクしたアンサンブル。脇にコンシールファスナーを付けたワンピース
羽織をリメイクしたアンサンブル。脇にコンシールファスナーを付けたワンピース
着脱が楽なように工夫した、初心者による手作り服。コサージュとカチューシャも手作り
着脱が楽なように工夫した、初心者による手作り服。コサージュとカチューシャも手作り
エレガントなカシュクールブラウス。ウエストのボタンの位置を替えて、サイズ調整
エレガントなカシュクールブラウス。ウエストのボタンの位置を替えて、サイズ調整