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かわさきマイスター活動レポート

「心休まる時間を」親子洋菓子教室

かわさきマイスター・横溝春雄さんによる、本格的な洋菓子

提供:川崎市
横溝シェフの実演を見学する参加者たち
横溝シェフの実演を見学する参加者たち
初夏の陽射しがまぶしく、新緑が鮮やかな、5月14日(土)午後、武蔵小杉駅から歩いて10分ほどの「東京ガスライフパル川崎中原武蔵小杉店」で、親子洋菓子教室が開催されました。
今回の講師は、平成22年度認定かわさきマイスターの製菓技能士・横溝春雄さん。
川崎北部の新百合ヶ丘で大人気の洋菓子店「リリエンベルグ」のオーナー・パティシエです。
また今回の参加者は、東日本大震災の被災者で川崎市内に避難されている、親子5組11人。会場となった「東京ガスライフパル川崎中原武蔵小杉店」のショールーム内は、久々のお菓子作りを楽しむお母さんたちの笑顔と子どもたちの元気な声でいっぱいになりました。

本日のマイスター、横溝春雄(よこみぞ・はるお)さん

平成22年度認定かわさきマイスター 製菓技術士
社団法人 日本洋菓子協会連合会技術指導委員
有限会社リリエンベルグ代表取締役

東京・神田の洋菓子店を経て、1972年渡欧。ドイツ・ベルリンのホテル「ケンピンスキ」、スイス・ジュネーブのホテル「デベルグ」、オーストリア・ウィーンの老舗洋菓子店「デメル」などで約5年間修業、「デメル」では日本人としてはじめて修業を許された方です。
帰国後、1977年から1988年、「新宿中村屋グロリエッテ」のシェフを務めた後、新百合ヶ丘に1988年に洋菓子店「リリエンベルグ」をオープン。リリエンベルグとはドイツ語で「百合の丘」を意味します。
欧州で習得した技術・配合を尊重しつつも、旬の食材を生かしながら、日本人の嗜好に合わせた工夫を凝らしています。おいしいできたてのお菓子を食べてもらうため、作り置きをしない姿勢は、地元だけでなく全国のファンをひきつけています。「テレビチャンピオン・パティシエ選手権」で2連覇したり、漫画『美味しんぼ』44巻に登場したこともある、知る人ぞ知る実力派のマイスターです。
ウィーン菓子工房「リリエンベルグ」

■所在地   川崎市麻生区上麻生4-18-17
■電話    044-966-7511
■FAX     044-954-0115
■営業時間  10:00~18:00
■休み    第1・3月曜日、火曜日
■HP          http://www.lilienberg.jp/

難しくない、確実においしい

いよいよ横溝先生のお話が始まります。「今日作るお菓子は、本当に難しくない、しかも食べて確実においしいです」と横溝さん。本日のメニュー、キャラメルバナナのロールケーキと2種類のクッキーのレシピの解説です。
横溝シェフ手作りのキャラメルバナナのロールケーキ
横溝シェフ手作りのキャラメルバナナのロールケーキ
まずキャラメルバナナのロールケーキは、「ビスキュイ」と呼ばれるスポンジカステラの材料の説明から。「グラニュー糖の中に、『白下糖*』という黒砂糖の一種を少し加えていますので、ちょっと茶色いカステラができ上がります。でき上がりはすごくしっとりとしています」。横溝さんの食材へのこだわりはこの白下糖にもうかがえます。ただし白下糖や黒砂糖がない場合、普通の砂糖に置き換えてよいそうです。
作るときのコツは、泡立てるときにハンドミキサーを使いますが、「泡立てすぎ」ということはないので、しっかり泡立てることが肝心だそうです。

*白砂糖を精製する前の原料となる黒砂糖の一種。甘みが控えめで、上品な味わいが特徴。
シェル(貝)の形のクッキー、こちらも横溝さんの作品
シェル(貝)の形のクッキー、こちらも横溝さんの作品
もうひとつのクッキー、シェルは「リリエンベルグ」でもっとも人気のあるクッキーです。「絞り袋に入れて絞ります。抜くクッキーと違って絞るクッキーなので、硬くなることはありません」。おいしくて、誰でもできると、横溝さんおすすめのお菓子です。
横溝さんの手さばきに子どもたちも見とれる
横溝さんの手さばきに子どもたちも見とれる
ひととおり解説が終わると、全員がシステムキッチンの周りに移動して、横溝さん自身の実演を見学します。ベテランのパティシエの鮮やかな技に、思わずため息がもれます。

横溝さんがクッキーの絞り袋から貝の形に絞り出しているとき、その様子を見ていた女の子から「アンパンマン描いて」と声がかかりました。思わずみんな大爆笑。
クッキーを絞り出す横溝さん
クッキーを絞り出す横溝さん
ひととおり実演が終わり、横溝さんが「さあ、ここまでやってもらいましょう」と声をかけました。「もう忘れました」とつぶやく人もいて、ちょっと不安そうなお母さんたちに比べ、子どもたちは「おいしそう」「早くやってみたい」と元気いっぱいです。

キャラメルバナナのロールケーキに子どもたちが挑戦

ハンドミキサーで泡立てる親子を優しく指導する横溝さん
ハンドミキサーで泡立てる親子を優しく指導する横溝さん
まず大きなボウルに卵(全卵4個、1個66g)、グラニュー糖(110g)、白下糖(35g)を入れて、軽く湯煎にかけ、人肌程度に温めてからハンドミキサーで泡立てます。「このときにしっかり泡立ててください」と横溝さんから再度ご注意。子どもたちはハンドミキサーを持ちたがるので、お母さんはボウルを抑えて、親子共同作業が始まります。
グラニュー糖、白下糖はあらかじめ細かく、おろし金ですりおろしておくのがコツですが、今回は「リリエンベルグ」さんが準備してくださいました。
ボウルの中をまぜる参加者と横溝さん
ボウルの中をまぜる参加者と横溝さん
2~3回ふるった薄力粉(100g)を一度に入れ、ゴムヘラで35回から40回混ぜます。下からすくいあげるように、思い切り、できるだけ早く混ぜること。水分の中に粉が入ると、粉は吸水性がありますから、しばらくほっておくとダマになってしまいます。粉を入れたら、できるだけ早くきれいに分散させなければならない。「そのためには乱暴なようでも早くやることです。電話がかかってきても出てられない」(笑)と横溝さんは力説。「おーい、と声かけられても、うるさい! と言い返すくらいでないと」。
次に、40度くらいの湯煎で溶かした生クリーム(40g)を加え、15回~20回くらい混ぜます。
天板の上で生地を平らに延ばす<br>
天板の上で生地を平らに延ばす
紙を敷いた天板に生地を移し、カートで平らにのばした後、170~180度のオーブンで約10分焼きます。
焼き上がったスポンジカステラ
焼き上がったスポンジカステラ
焼き上げた生地は天板からすぐにはずします。見事なスポンジカステラ、ロール生地の出来上がりです。底の紙には霧吹きで水を吹いておきます。
あらかじめ冷やしておいたボウルに、生クリーム(260g)、グラニュー糖(15g)を入れ泡立てます。もったりするくらいまで泡立てた生クリームは、このあと生地の上に塗ります。

次に、キャラメルバナナを作ります。
まず完熟バナナ(2本)の皮をむき、縦に2つに切り、1本は十字に、もう1本は3分の1にカットします。システムキッチンの調理台に移って、フライパンにバナナとグラニュー糖(30g)、白下糖(15g)、生クリーム(60g)を入れ、熱します。
キャラメルバナナにとりかかる横溝シェフ
キャラメルバナナにとりかかる横溝シェフ
半分に切ったバナナを1本は十字、1本は3分の1にカット
半分に切ったバナナを1本は十字、1本は3分の1にカット
フライパンに入れたばかりのキャラメルバナナの材料
フライパンに入れたばかりのキャラメルバナナの材料
グラニュー糖が溶けて全体が茶色に変わってきました。
グラニュー糖が溶けて全体が茶色に変わってきました。
バナナが溶けてきたら完成です。
バナナが溶けてきたら完成です。
やがてバナナが煮溶け、全体がキャラメル色になるくらいまで、加熱していきます。香ばしい匂いが流れて、子どもたちから歓声が上がりました。
さあ、いよいよロールケーキを巻いていきます。
ロール生地の上に生クリームを延ばしていきます。
ロール生地の上に生クリームを延ばしていきます。
まず、焼き上げたロール生地の紙をはがし、新しい紙を敷いておきます。その上に泡立てた生クリームをヘラで延ばしながら塗っていきます。茶色の生地が真っ白な生クリームで隠れるまで延ばします。
手でキャラメルバナナを並べる男の子<br>
手でキャラメルバナナを並べる男の子
右手にゴム手袋を付けて、キャラメルバナナを直接つかんで並べていきます。子どもたちは真剣そのもの。
巻きロールに挑戦する親子を手伝う横溝シェフ<br>
巻きロールに挑戦する親子を手伝う横溝シェフ
手前から巻きロールにしていきます。親子で手を添えて巻こうとして、「あー、ちょっと危険です。先生、助けて」と助太刀をお願いするお母さんに、「大丈夫、ゆっくりやれば大丈夫」と横溝さんが励ましの声をかけます。巻いたロールはいったん冷蔵庫で冷やします。
ロールケーキに焼きごてを当てる親子
ロールケーキに焼きごてを当てる親子
茶漉しで粉糖をふり、白くなったロールケーキの表面に、最後の仕上げで焼きごてを当てます。「今日は蚊取り線香」と横溝さん。焼きごてを怖がる子どももいましたが、両手でしっかり持って焼きごてを当てていく勇敢な子もいました。上手にできると、周りから一斉に拍手が起こりました。
キャラメルバナナのロールケーキ、完成です!
キャラメルバナナのロールケーキ、完成です!
カットして、2切れほどお皿に盛ります。さあ、これが出来上がりです。「おいしそう!」、女の子がうれしそうにつぶやきました。

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